新宿区長になった猫(非公開頁)

新宿区長になった猫


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1)プロローグ 縦1頁

川辺を歩く初老の徳兵衛が、作務衣の胸に仔猫を抱いている。
月明かり。木々。枝にカラス。背後に月。
水面に波。

猫の姿が小さくなってしまうといけないので、草履まで入れなくて結構です。徳兵衛の膝くらいまで。
猫は常にまつげを長く。
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2)床の上の徳兵衛 横半頁

寝床に仰向けの徳兵衛の胸の上にジークフリートが乗っている。
ジークフリートの片手は、徳兵衛のあごの上に置かれている。
徳兵衛の寝ている部屋は、畳の間で、箪笥、床の間が見える。

布団の柄をなしにして、猫の姿を目立たさせる。

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3)猫達との遭遇

ガラス戸の向こう側にたくさんの猫がいて、おいで、おいでをしている。
猫の数、7匹。
黒猫、茶猫、ペルシャ猫、シャム猫、パンダ猫、ビジン猫、トラ猫

キャラクターをはっきりさせるため、表紙同様に、ちゃんちゃんこ猫、サングラス猫、

ティアラと首飾り猫、海賊フックの衣裳猫、蝶ネクタイ猫、クビにリボンのパンダ猫、元東京都知事袴裃猫など。
ガラスの向こう側は、木が生えて、庭の石灯籠が見える。
ガラス戸のこちら側の座布団の上にいるジークフリート。
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猫の運動会 横2頁見開き

 

広い敷地。遠くに外濠公園の木々が見える。
猫達が玉転がしをしている。
万国旗がはためいている。
フランス、ドイツ、ロシア、イタリア、スイス、フィンランド、日本、ボスニア、イラク、
トリニダードトバゴ、タイ、台湾、ラオス、バーレーン、シリア、チェコ、ロシア、グルジア、メキシコ、
などの国旗。
パン食い競争の紐の下に、鼠が5匹ぶら下がっている。
拍手する猫。

魚を食べている猫。

ポンポンを手に応援する猫。

仔猫をおんぶするお母さん猫。
よーいスタートの笛を吹く猫。
走る猫。
跳ぶ猫。

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猫会議 横半ページ

大勢の猫が車座に。
挙手する猫。
立って喋る猫。
拍手する猫。
指を指してヤジを飛ばす猫。
欠伸する猫。
居眠りする猫。
真剣に聞き入る猫。
壁には、額縁。おじいさん猫の肖像画。メガネにヒゲ。
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候補者決定 縦1頁

大勢の猫が、仔猫のジークフリートを胴上げしている。
着物に袴姿のにゃんぐ長老猫が、横で両手に扇子を持ってはやしている。
扇子の柄は日の丸ではなく、大きな猫の顔。

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選挙準備

モーツアルトのかつらをつけた青島宏志先生(写真)がグランドピアノの前に座り
ジークフリートに、声楽のレッスンをしている。
ジークフリートは、大きな口を開けて歌っている。
口から二分音符、四分音符、ト音記号、シャープ、フラットなどが出てくる。
ピアノの後ろの壁には、ベートーベンの肖像画の額縁が掛かっている。


埋め込み画像 1埋め込み画像 2

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牛乳瓶の麻呂の膝の上に美しいアナスタシア猫
アナスタシアは首飾りをつけ、頭にはティアラが載っている
手首には、腕輪。
フリルのついたスカート。
麻呂は、ジャニーズ風のヘアスタイル。
なで肩の、イケメン。
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文化作戦
ビジン猫が並んでラインダンス『東京都知事になった猫』参照
きらびやかな、ステージ。ミラーボール。
人間のカメラ小僧が、猫達が足を振り上げた瞬間を狙って、写真を撮っている。
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銀幕の誘惑 縦長1頁
埋め込み画像 3埋め込み画像 4
埋め込み画像 5
クレオパトラの顔の向きを反対側にする。
寅さんは、両側の人をなくす。
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グルメ作戦 横半ページ
サラダ、コーヒー、薔薇1輪を飾った、花瓶:中村屋 追分団子屋は、お茶を用意。
埋め込み画像 8埋め込み画像 7
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候補者 縦1頁
埋め込み画像 10
候補者ポスター掲示板。
4x4,16名。
ジークフリート:上から二段目の右中央。
着物に袴を身につけている。
頭にパンツをかぶった男。
毛が濃い女性。短髪でヒゲが生えている。
埋め込み画像 13
両手でスマイルしているマック赤坂。
手に練炭を持っている。
両手に団扇を持っている。
ハンマーでPCを壊している。
数本しかない髪の毛を手鏡で見ている男。
埋め込み画像 14
埋め込み画像 15
甘利の方の上にTPPという文字を入れる。

 

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13-1

アナスタシア経営の猫サロン
つけまつげをしたビジン猫達が、刺激的なポーズで店の中でポージング
ソファに座って猫を触っている肥満、チェックシャツ、ニキビの男性、
テーブルの上の猫と見つめ合っているメガネのおにいさん、
ぼさぼさ髪のブスおばさんが仰向けになった猫のお腹を撫でている

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当選証書渡し
選挙管理委員長のお婆が「猫之勝平選挙事務所」と看板を見ている(右手側にお婆が立っている)
扉の内側の中に
カンカンのドレスや
サンバの羽根背負子や
シルクハット
ハンガーに干してあるレオタード
積み重ねた衣裳の上に、仔猫が寝ている
仔猫のまわりに、いろいろな猫がいる。
寝ているジークフリートを羽根うちわで扇いでいる猫。
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新宿区役所へ初登庁
七五三の出で立ちの猫の勝平
手には千歳飴を持っている
猫之勝平が建物の中に入って行く
多くの猫や犬や鳥達が拍手をしている
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新宿十二社温泉
 
浴槽に3匹の猫がゆったり入っている
隣の浴槽は、頭にタオルを乗せた猿
もう一匹の猿は、湯船の中でとっくりとおちょこを持っている
犬風呂は、チャウチャウや、小さなポメラニアン、柴犬、ブルドッグが
温泉を楽しんでいる。
 
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新宿牧場
 
ポプラ並木で囲まれたのどかな牧場の後ろにビルが見える。
ホルスタイン牛が5匹。
仔牛1匹。
ソフトクリームを食べるオシャレ猫たち。
 
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新宿区直営キャバレー「
 
パリのホワイトホース
世界で一番美しいセクシーダンス
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13-4
江戸屋敷のような家と、庭、池、植え込み。
庭の景色を楽しむ着物姿の人が
携帯電話で話している相手は、
ノートパソコンに向かっている。
屋根には、衛星放送のアンテナ。
 
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13-5
 
お店に、スキーやゴルフ、スーツケースを預ける人たち。
にこやかに対応する店員のおにいさん。
お店の中に、食品や文房具などが置かれている。
 
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13-6
 
内藤のお殿様唐辛子祭り
大名行列。大勢の人が、江戸時代の衣裳で通りを練り歩く。
 
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狙撃犯
 
崩れ去る猫之勝平
黒メガネの狙撃犯
手に花や植樹の苗を持った区民たち
にゃんぐ長老の動揺
 
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13-7
 
背中の曲がった高齢のきんさん、ぎんさん姉妹が手を取り合っている。
後ろに、防衛省の建物や塔が見える。
 
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最終稿
 
神社の境内での集会で話す源治郎猫。
多くの人間や猫、犬が集まっている。
 
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尾張徳川家の上屋敷の障子を破って
外へ飛び出す助五郎ニャン左右衛門。
慌てる羽織袴の人々。
 
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集会
 
首筋に銃弾を受けたボディーガード猫ステパン
身体で猫之勝平をかばっている
 
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エピローグ
 
蘇ったボディーガード猫ステパンと猫之勝平が
再会して、抱き合って喜ぶ
 
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最終場面
 
大勢の猫や人間が「新宿共和国」ののぼり旗を掲げて
行進する。
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新宿猫13 -1
前代未聞の選挙投票日 ― 当選認定証 ―初登庁

投票日当日、新宿区民は楽しいイベント漬け。
いろいろ面白そうなものをはしごしながら、見たり、食べたり、飲んだりを全部無料で楽しむ区民がほとんどだったから、投票場は閑古鳥だった。
自分一人くらい投票しない人がいたところで、新宿区は多くの有権者を抱えているから、
ちゃんと投票に行く真面目な人もいるはず、他の誰かが投票するだろうから、
ってことは、自分は行かなくても大丈夫、と誰もが考えた。
つうかさあ、猫之勝平陣営は、投票箱の中から他の候補のわずかな票も抜き取って、
あらかじめ用意した猫之勝平と書かれた票を仕込むこともやったので、
わけなくダントツ一番で当選だわな。普通ではあり得ない、芸術的と言える完璧な当選だにゃん。
猫だからこそできる選挙があるにゃー。人間、真似すんなよ。

アナスタシア経営の歌舞伎町にある高級猫サロンも一日中投票妨害のために無料で店を開き、
投票者を足止めするのに絶大な貢献をした。
だいたいからして猫カフェや猫サロンに来る人たちは一様にもてない、カッコ悪い、
家に猫がいない気の毒な人たちで、ファッションやボディラインにうとい、もっさりしたのが多い。
新宿区の有権者を足止めしたいだけなのにタダという条件にひかれて 関係ない人がやって来て、
店はてんてこ舞いだったが、区民以外の客は正規料金を徴収された。
おたくタイプは、しつこく猫を撫でまわすので、まいる。
 レニちゃんは超オタクのいでたちをしたイタリア人旅行者にひしと抱かれていた。
イタリア人オタクは、「オッキ(目)・アズーリ(青)、君は美しい」
と言ってレニちゃんの全身を撫でまわした。
撫でられることが仕事とわきまえて勤務しているサロンだからプロの猫たるもの、
そこは仕事と割り切って撫でられている。
どんなことでも ジークフリートのため 区長選に勝つため、
私はプロだから選挙のためならなんでもやる、
このくらいの意気込みがないと選挙対策本部の有力スタッフはつとまらない。
KGBの女スパイならもっとすごいことだって仕事のうちなのだから。
「オッキなアズーリ、君は覚えているか、あの日のことを」
今日初めて会ったのに なに馬鹿言ってんの、こいつはと思ったけれど、
すべては選挙のためだから、レニちゃんが最高に可愛く微笑み返したら、
「僕たち素敵な時間を過ごしたよね、あの日」とくる。
なわけないじゃないと思いながらも、
ジークフリートがクリーム・ベージュの毛皮の上に七五三の袴で決めて、
凛々しく新宿区長室ヘ入って行くその姿を一目見たいばかりに、レニは、
 「あら、そんなことあったかしら」とつぶやき、すっと流し目をする。
デブおたくに電撃が走った。
「オッキ・アズーリ、僕たちはあの日、黄色いロールス・ロイスに乗って、
カプリの蒼の洞窟に行ったよね。アラン・ドロン扮する僕とシャーリー・マクレーン扮する君は、
洞窟の中で愛を語ったね。
君が好きだと言った時、君は、どうせ私の顔と身体が好きなんでしょと言ったから、君の心が好きだと言った。
いつまでもそのままでいてくれ、子供のような天真爛漫さ、そのままでいてくれ、
僕は君にそう言ったね」
思い込みの激しいイタリア男ジョヴァンニは力を込めてレニちゃんを抱きしめたものだから
思わずニャアと、声を上げてしまった。
絶妙なタイミングで経営者のアナスタシアが、
スワロフスキーの首飾りと豪華毛皮のショールでやって来て、
「お客様、お時間です、お帰りになりますか、ご延長になさいますか、
当店八時より通常の休日料金となります」と事務口調で言うと、
イタリア人は、「延長で頼む」と即座に言ったから、レニは猫サロンの売り上げに大きく貢献した。
歌舞伎町の猫サロンからアナスタシアと一緒に四谷本塩町のダンス・スクールに戻って来たレニは、
一番仲良しのマルレーネに抱きついて、お互いの首や顔を舐め合った。
この子達は江戸川捨て猫里親センターの所長鈴木よしこさんのところからやってきた仲良しさん。
「オッキ(青)・アズーリ(目)だって」
ケラケラとマルレーネが笑い、天真爛漫に青い目のレニに挑みかかり、首や耳を噛んだ。
このくらいの年頃の女の子猫が二人で戯れている姿はほれぼれする。
その時、ダンス・スタジオに姿勢の悪いおばあさんが入ってきた。
「あ、誰か来たにゃん」
「つーか、選挙管理委員長のお婆だわ」
当選した候補者、猫の勝平の選挙事務所、
つまり四谷本塩町の人間のお母さんのダンス・スクールに選挙管理委員長が、
当選証書を持ってやって来たのだ。
「ダンス・スクールの中に選対本部があるので、ちょっとびっくりしていたみたい、フフフ」
マルレーネとレニの可愛い盛りの女の子猫は、相手のお腹に頭突きして、じゃれている。
区議が当選すると、新宿区役所内にある大きな会場で当選議員が一人づつ名前を呼ばれて  
当選証書が手渡される。
会場は、一般区民に解放されているから、新米議員の支持者らが当選証書授与式にやって来て、
お目当の議員が証書を受け取る瞬間をカメラに収めたり、
拍手をして盛り上げることもある。だがそういう幸運な議員はわずかで、
ほとんどの当選議員たちは誰も連れずに1人で来るから、拍手が起きるのはファンがついている稀な議員だけ。
イベント性の少ない人や会は退屈だ。 
選挙管理委員長のお婆は、四谷本塩町のダンス教室衣裳部屋にある猫の勝ヒラ選挙事務所を見てびっくりしていた。

猫之勝平陣営はダンス・スタジオの中にある衣装部屋を選挙事務所として使っていた。
壁には猫の勝平や、「飼い猫の生活が第一」の政党ポスター、
ニャング長老猫政治塾生募集のチラシ、猫之助がかつて東京都知事選に立候補した時の
「東京から日本を変える」のなつかしいポスターの他、
ダルマや支持猫たちから届いた白やピンクの胡蝶蘭などが、
人間のお母さんのダンス・シューズ、レオタード類、
着物やヨガマット、扇子や刀、和傘にシルクハット、
フレンチ・カンカン・ドレスなどがところ狭しと積まれた衣裳部屋の選挙事務所に飾ってあるので、お婆はいささか、ぶったまげーション気味。
このお婆は、以前長らく新宿区で選挙管理委員長をやっていた融通のきかない欲深そうな爺さんの後釜で、カマトト婆であった。
ジークフリート君こと猫之勝平は仔猫だから眠りが深く、お婆が来た時には既に長老猫ニャングさんと党幹事長猫ナナの間に収まって気持ちよさそうに寝息を立てていたから、起こさなかった。

代わりに元東京都知事猫の猫之助が認定証受け取った。ロマノフ貴族のセルゲイが、その瞬間をカメラに収めた。
仔猫は寝ている時に成長する。
だから決して眠りを妨げてはならない。
頭の悪い集中力の欠けた子に育ってしまう。
だから猫の親は、寝ている仔猫を「ほら、もう時間よ、遅刻するわよ」と無理やり叩き起こして、
遠くの有名私立学校や、日に三箇所ものお習いごとに連れて回るような愚かなことは絶対にしない。
成長するのも、怪我や病気を直すのも、学んだこと脳内でこなすのも、全部睡眠中に行われることを、猫たちはよく理解しているからだ。
ダンススタジオの衣裳部屋の中につくられた選対本部の様子に、選管お婆はいささか怪訝そうな顔をしながらも、早く戻れば高齢者入浴無料券を使って、

今夜は台町の薬草湯にしようか、

牛込柳町のミストサウナにしようか、
それとも、余丁町のオスマン風呂も捨てがたいやいや、
たまには足を伸ばして江戸川橋の露天風呂にしようか、
いや、今日は久しぶりに富士山じゃなくて、
高田馬場のイグアスの滝(ブラジルとアルゼンチン国境)の異国情緒溢れた壁画を見ながら
湯船に浸かろうかなどと思い巡らせていたから、細かいことはさほど気にならなかった。

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13-2

猫之勝平区長の活躍

初登庁の猫之勝平は、実に素晴らしかった。
にゃんぐ長老は、浅草仲見世を右に折れたところにある浅草の主のような九十歳の女主人が経営する呉服店で
ジークフリートのために七五三の衣裳を特別に誂えた。
袴セットを身につけた新宿区長猫之勝平は、仔猫とはいえ、なかなか立派なものだ。
日本の伝統文化を重んじる猫たちは、正式の場では常に和服を着ることにしている。先の東京都知事選で見事当選した「飼い猫の生活が第一」の猫之助の選挙ポスターは、侍ジャケットを羽織った正装だった。初登庁の時など、歌舞伎役者が花道を歩いているほどカッコ良く、「いよっ、猫之助」、「成田屋」、「播磨屋」の掛け声が飛び交い、投げ銭が宙を舞い、失神する女性ファンが続出するなど、これまでにない東京都知事初登庁の巻を繰り広げ、海外メディアが取り上げたのは記憶に新しい。

国会議員の中には、元東京都知事猫之助を真似してとってつけたように和服を着る愚かな輩がいるようだが、普段着物を着慣れていない人が、美容院へ行ってその日だけ着付けをしてもらったところで、日本の着物文化になんら貢献しない。
引き出しを開けて明日はどの着物を着ようと選び、アイロンをかけて(又は、かけてもらって)、ちゃんと畳んで翌日それを自分もしくは家族、同居人によって身につけるのでないと、着物の文化は継承されていかない。
美容院での着付けは、ただその時だけの特別行動。
日々の生活の中で当たり前のこととして行われる、日常行為の中にこそ、本物の文化の継承があることを、猫はよく理解している。
同じことは入浴にも言えて、美容と健康の為に奮発して高級エステなんか行く人がいるけれど、普段から朝晩二回必ず入浴している人がたまに目先を変えるためにエステへ行くならともかく、普段カラスの行水のお風呂を一日おき、又はシャワーだけで済ませている人が、その日一回だけエステに行ったところで、とってつけたような行動は、余分な脂肪や内部被曝指数を落とすのにあまり貢献しない。
本気で落としたかったら、毎日規則的に朝晩二回か、夏には昼間も入浴することだ。そうすれば、内部被曝ベクレル数は、住んでいるところに関係なく、2桁に落とせる。人間のおかあさんのベクレル数は65だけれど、たいていの日本人は200ベクレルくらい内部被曝している。一度の入浴で100ベクレル落とせるのに、入浴しないで、内部被曝数を増やしてる人というのは、一体何を考えているのか、猫は理解に苦しむ。

毎日続けないと意味がない。

同様のことは、歌や踊りの練習にも言えること。まだ日本でやるべきことをまったくやっていないのに、いきなりニューヨークやロスへ行く人がいるけれど、言葉もろくに喋れない踊りのシロウトが数回だけ現地で習ったところで、ほとんど効果がないから、なにやってんのという例をしばしば見る。
大切なのは日々いかに心をかけて、それにいそしんでいるかということ。

送付済み 再送必要

13-3 新宿区役所新庁舎

 

話がそれたので、新宿区長、猫之勝平に戻そう。
猫之勝平は、まず新宿区役所の立地条件を問題にした。

一体どこの親が、子供を連れて、新宿区役所の庁舎に入れるというのか。

区庁舎の場所が、なぜか、日本で一番ぶっ飛んでる。

ぼったくり寿司屋と飲み屋とキャバクラを右手に見て入るか、覗き部屋と大人のおもちゃを左手に見て入るか、はたまた裏から来ようものなら、これでもかと延々と続くお水街を過ぎて、ホストクラブとフィリピンパブの横を通り、右か左のお好きな方から入るかしかない。

いっそのこと、新宿駅の改札を出たら、そこは新宿区役所だった、というようにしたらどうだろうか。

しかも、託児所を備え、猫職員のおねえさんたちが、子供達と遊んでいる間に、親は区役所で各種手続きを済ませることができる。

猫と子供は仲良しだから、子供達は待っている時間がちっとも苦にならない。

学者猫が、子供達に、絵本を読んだり、英語やフランス語の歌を教えたりすることだってできるし、身体を動かしたい子供には、猫ダンスのおにいちゃんたちが、リトミックやタップダンスやヒップホップを教えてくれる。

神奈川県横浜市の戸塚駅はすでに駅と区役所一体化というのをやっていて、駅を降りると、そこが戸塚区役所だから、無駄がない。

雨の日でも、そのまま区役所へ行かれる。そのアイデア、新宿区がありがたく使わせていただくにゃん。

新宿区役所の上は、区営のカプセルホテルになっているので、終電に乗り遅れた人も、お風呂に入ったあと、ぐっすり眠れば、翌日の活動ができる。

お風呂の名前は、その名も、「区営新宿十二社(そう)温泉」。都庁前にあった江戸時代から続く、伝説的なあの新宿十二社温泉が、猫之助区長によって、駅ビルの上に蘇ったにゃん。平成21年に新宿十二社温泉が半世紀の歴史を閉じた時、多くの新宿区民は一様に胸の痛みを味わった。全然薄めていないあの黒々としたお湯、肌のすべすべ感、都庁の目の前で露天風呂に浸かる幸福感。箱根や伊香保に行ってないのに、味わえた温泉気分。ノスタルジックな昭和の設備。

それが、リニューアルして、新宿駅の上の区役所の上に鎮座している。新宿十二社温泉、歴史と伝統がある温泉なのだから、東京ドームやお台場に負けるなよ。猫之勝平プロデュースの新宿十二社温泉は、フィンランドサウナ、ミストサウナ、岩盤浴、レディースサウナ、砂温泉、ゲルマ浴はもちろんのこと、猿温泉、イヌ温泉を併設しているから、多くの動物や人々で賑わっている。

新宿十二社温泉は、動物からは料金を取らない。人間の払う入浴料は、そのまま区の財政を潤す。

入浴後のマッサージは、猫のふみふみマッサージが待っているから、大人気。これも新宿区の歳入となる。

新宿区の予算に目を向けると、無駄が多い。特に人件費。
職員を養うために区民が大きな負担を強いられている。
ろくでもない職員を削り、猫職員と入れ替えよう。
区の職員は、区民に雇われているサーバントであって、指導者や監督ではない。
区民を監視したり指導したがる上から目線の職員は、邪魔だから、さっさとクビにする。
明らかに能力不足だと区民が判断した場合は、猫職員に変更できるという規則をつくることで、横柄な態度の職員を一掃できる。
区の職員が給料をもらうのに相応しくない態度をとった場合、区民はいつでも区長室気付けの目安箱に報告できる。
新宿区の職員として働きたい場合、職員は自分の給料を自分で稼がないといけないという決まりも新区長により告知された。猫之助は給料はもらうものではなく、自分でつくるものだということを、職員にこう説いた。

「新宿区が公務員であるあなたのために何をしてくれるかではなく、新宿区民の幸せのために共に何ができるかを考えようではありませんか」。似たようなことを、一九六一年にジョン・F・ケネディが大統領就任演説で米国民に言っている。

「アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、人類の自由のために共に何ができるかを考えようではありませんか」

猫之勝平一番大きな改革は、「新宿区は区民税の徴収を止める」と宣言したことだにゃん。
これは、区民に大受けだった。

新宿区ではこれまでそのような政策を掲げた区長は一人もいなかった。
あなた払う人、私もらう人というお金の流れが変わった。

税金を集めなくても、住民に思い切り幸せな生活をしてもらっているところが世界にはあるので、猫区長勝平は、思いっきり、バーレーンや、かつてのカダフィのリビアの真似をすることにした

区民は納税をしなくても、新宿区生活を楽しめる。
お仕事の人だけ事業税を払い、住んでいる人からは、取らない。区民から税金を徴収しないから、新宿区役所は必要な金額を区役所自身が確保しないといけない。

公務員一人一人が区の財源をつくる義務のノルマが課せられた。そのような自助努力をすることなしに、安易に住民から集めようとしたら、まるで、国民の銀行口座を虎視眈々と狙っているどこかの国のドロボウ政府と同じになってしまう。

 

猫之勝平は、消費税を廃止した。というか、消費税分を、新宿区役所が負担することになったので、新宿区民は、新宿区内の店で、消費税なしの、本体価格だけで買い物ができる。
国会議員の中には、沖縄のお好み焼きの光太郎おじさん(太田隆文監督『朝日のあたる家』、山本太郎主演)のように、「僕が総理大臣になったら消費税を廃止します」と言っている人もいるけれど、お好み焼き屋さんが総理大臣になるのを待つのは大変だから、猫之勝平は、お好み焼き屋さんより早く、消費税をなくした。新宿区の場合は、タヌキが新宿御苑の葉っぱを日本円のお札に替えてくれるから、新宿区は国への上納金をタヌキの葉っぱのお札で支払うことができる。72時間以内に使わないと、葉っぱに戻るから、特別会計の金庫に長期間入れようものなら、開けた時に、全部葉っぱになっている。いい気味だにゃん。オメーラ、使えないにゃー。

 

さて、猫之勝平は、様々なジャンルにわたる新宿区直営店をつくった。
職員はそれらの直営店で働くことになる。なにしろ、区民税をなくしたから、新宿区の歳入はすべて新宿区役所の職員が稼ぎ出さないといけない。

区役所の職員は九時五時勤務ではなくなった。
まず早朝シフト職員は、新宿区選定衣裳の頬かむりに麦わら帽子、もんぺ姿という出で立ちで、朝六時から新宿区直営農場にて、内藤のお殿様の昔から新宿名物の唐辛子畑に、肥やしや水を撒く。当然、肥だめや堆肥小屋の担当の職員もいる。背広にネクタイにオードトワレをつけて窓口に座っていればよかった頃とはわけが違う。
牛の世話や乳搾りも欠かせない。
ジーパンにTシャツ、トレーナーやヨットパーカー、ランニングシャツの職員は、給料から日に千円天引きされる。観光地区江戸新宿の伝統文化を守りたいのでやむを得ない策だ。
明治時代、新宿通りの伊勢丹のちょい前あたりは、牧場で、牛乳文化を日本に紹介するために、「獣の乳など、汚らわしい」と思っている人々に、搾りたての生乳を提供していた。
猫之勝平は、新宿通り牧場を復活させることにした。
目障りな洋服屋と薬屋、ついでに旅行会社を潰して更地にし、盛り土をして牧草を植えれば猫之勝平式新宿牧場のできあがり。
ポプラでぐるっと囲んで、宮沢賢治が愛した小岩井牧場みたいにしまおう。
牧場の売りメニューは、搾りたての生乳とヨーグルトにアイスクリーム。
トッピングは、はちみつ、マーマレード、メープル・シロップ、キャラメル・ソース、それからブルーベリー、パイナップル、キウイ、ストロベリー、メロンのジャムから選べるようになっている。
アイスクリームは、信濃町の老舗アイスクリーム屋ナポリと伊勢丹地下及び高島屋の売り場にあるメニューを全部参考にして品揃えを豊富にした。シチリアンソルトや、チョコチップや柚など人気商品も一律、百円。販売員を猫職員にしているから、価格を大幅に落とせる。
乳製品の横では健康志向のために網走刑務所産の大豆を使った豆乳が売られている。
来年になれば、新宿産の大豆で豆乳が生産できる。
戸山団地を何棟か壊して、さすが区の農場を作る計画が着々と進んでいる。戸山団地は、昭和のあの時代はあれでも良かったけれど、いささか空間効率が悪いから、高層にして、空いた場所を農場にした方がいい。

鶏を放し飼いにするから、団地の住民は、朝は目覚ましなしで起きられる。

羊や豚も走り回れるようにする。排泄物は肥料として利用するから、化学肥料はいらない。

居酒屋昼シフト職員は、9時に出勤して、女性職員は江戸の茶屋風の着物、男性は番頭さん風の衣裳に着替え、清掃や調理。11時半には、昼ご飯のお客が来るから、「いらっしゃいませ」と頭を下げる。公務員はとかく頭を下げることに慣れていなくて、「いらっしゃいませ」という言葉さえ容易に出ないから、まず、挨拶の練習からやらないといけない。ったくもう、手がかかるんだわ、この手の人たちは。

夕方は夜間勤務シフトの公務員が居酒屋で働く。外食産業と巧みに連携していくことで、区の歳入を確保していく見事なやりかた。さすがに猫は頭が働く。人間の区長はここまでできないだろう。

新宿区の職員は登庁するなり、自分の仕事に合った衣裳に着替えないといけない。
多くの職員が絣の着物を着て道端で花の苗を一鉢百円で売っている

スミレやデイジーのようなもともと安い花はともかくとしても、ガーデンシクラメンやハイビスカスも一鉢百円。だから、みんな気軽に植物の苗を買って、家の玄関や庭、ベランダに花を飾るようになった。

新宿の住宅の窓は、スイスやオーストリアの家の窓辺と匹敵するほど、花いっぱいで美しくなった。

むこうは馬鹿の一つ覚えのようにゼラニウムだけれど、新宿区民は、さまざまな植物を植えたから、もっとバラエティに富んで美しい。旧・上駒込村染井(現・豊島区駒込)は「園芸の街」と呼ばれていたが、新宿区全体を雑木林の中の園芸地区にしてしまい、たくさんの昆虫や鳥を呼び寄せたいというのが、猫之勝平が元東京都知事猫から直々に指示されたことである。
以前、新宿通りや靖国通りは、イスラエル人がタイ産の安物イヤリングを千円でさばいていたけれど、今では区の職員が花や農作物を売っているから素敵。

ところで、イヤリングを売っていたイスラエル人達は、自分が新宿のどこの通りの何という名前の店舗の前で販売行為をするという権利を、本国ですでに買ってから来日していた。人の国の土地のどこの通りでの販売権利を売るということが実際に行われていたことは非常にシュール。これがエスカレートすると、占領地区が国家となってしまう発想と通じるところがある。イスラエル人達は、まず、バンコクへ行って、大量のイヤリングを仕入れてから、日本に入国する。自分が道路沿いに座って売る新米もいたけれど、それだと拘束されて、他の活動ができないから、欧米人観光客を日立て2万5千円で雇って、販売員をやらせていた。バックパッカーは、その金額を提示すると、すぐに乗って来るから、販売員確保は簡単だった。だから、いくつかの通りの権利を本国で買って来ている人は、数本の通りの権利を持つことになり、売上金は相当だった。もちろん、土地の商売を仕切っている組織に金銭を渡していたけれど、その金額は、欧米人販売員には、知らせなかった。

その頃から比べたら、道路での物販がなくなって、新宿通りがすっきりしたと思うのは行政だけで、夜だけ伊勢丹の前でウサギを売っていたおじさんや、焼き芋屋、大根餅屋、オカリナ片手にペルーの民族衣装で歌いながら『コンドルは飛んでいく』のCDを売っていたグループや、イケメン尺八吹きのおにいさんもいなくなり、通行人にしてみれば、おもしろみに欠けた通りになってしまったから、路上で区の職員がもんぺ姿で、物販をするのは、大いに喜ばれた。

手焼き煎餅、べっこう飴、みたらし団子、カステラ、たこ焼き、焼きそば、チョコバナナ、綿飴など、区の職員は手を変え品を変え、さまざまな物を売りさばいた。

そうしないと、自分の給料が確保できないからだ。給料分を稼げないとなると、猫の区長だから、不足分は、たこ焼きで払うなどと言いかねないので、職員達は必死だった。

楽ができるからと思って公務員になった人たちは、まさか努力が必要な職場だとは夢にも思わなかったため、絶望して、自分から辞職するケースも多かった。人事課の猫職員は、そのたびに大喜びで、猫や犬でそのポジションを補填したので、人件費の出費はどんどん少なくなった。

公務員に支払う人件費がいかに新宿区民の家系を圧迫していたかを長年見てきた日本最多当選の政界の大物にゃんぐ長老猫は、渋谷区の鰻屋の猫組親方に連絡を取った。猫組親方が世話をしている千駄ヶ谷一帯の親なし、家なし猫で構成される一個師団を、新宿区人事課で是非引き取りたいと、正式に要請を出した。冬のさなか寒さで死んでしまいそうな猫達を集め、その子達のお父さんになって、自分の食べるものを切り詰めて、猫たちには、十分に食べさせ、大切に育ててきた猫組親方にとって、その子達は、子供も同然だった。立派に成長した猫たちは、猫組親方を心から尊敬する、素直で、気持ちの良い青年猫になっていた。

一個師団の猫軍団は、足を直角まで振り上げ、鰻屋の猫組親方に、「おとうさん、ありがとうにゃん」を口々に叫び、これまでのお礼を、最敬礼で現しながら、明治通りを行進していった。成長した猫達の立派な姿を目のあたりにして、猫組親方は、拍手をしながら、涙していた。猫の一個師団は、新宿三丁目の角で明治通りを直角に曲がり、目指すは新宿区役所新庁舎、つまり、JR新宿駅。
その日から、猫組親方の猫軍団青年猫たちは、新宿区役所の猫職員として、就職した。
区役所には、動物職員のための温泉付き宿舎が完備されているので、そこでみんな幸せに暮らしているから、猫組親方は、心配しなくても大丈夫。
そのように、志願兵的に、新宿区に引っ越して来た元警察犬や盲導犬、CM出演犬など、ヴェテラン(退役軍犬)のOB参加も多かった。

殺傷処分になるはずの犬猫たちも、関東地方各地からやって来た。

生きていれば世の中のためになることができる。
命を無駄にしてはいけない。セコムのような管理会社がはびこり、犬はお払い箱になった。
以前、人間と動物は役割分担をして生きていたのに、人間がしゃしゃり出たから、犬は数千年にわたって馴染んできた番犬という職業を失った。
ネズミ集合しよう、廃屋を解体っているお仕事が待ってるよ。

区内の多くの空き地が区によって買い上げられたり借り上げられて、畑に変わった。
大都市の中心部のここかしこに畑があるのは素晴らしい。畑の周りをぐるりと竹林で囲むことで、空気が良くなった。
夕方から出勤の新宿区職員は、区直営の居酒屋、芸者キャバクラ、バーやホストクラブ、はたまたSMクラブで働くことになる。
ちょっと見てくれの良い若手男女職員は、人間のお母さんがやっている旧忍者地区のダンス教室で特訓を受けて、レビュー・ショーを上演することになった。
元々新宿南口には、泣く子も黙る娯楽の殿堂、「ムーラン・ルージュ」という名前のキャバレーがあり、戦前はレビュー・ショーが上演されていた。
地域に根付いたレビュー・ショーがなくなったのは寂しいから、比較的小型の小屋で食後レビューを見るという文化を復活させたい
コマ劇場、日劇、浅草国際劇場などの大きな小屋は撤退した。ニューヨークのラジオ・シティの常設上演がなくなりクリスマス期間だけになり、普段は昔の映画を延々と上演しているのは、世界的な傾向としてある程度仕方がないが、小さな規模の劇場は存続させるべきだ。

新宿区でレビューの常設小屋を始めれば、パリのリドやムーラン・ルージュと並ぶほどの評判を取れる小屋になれるかもしれないが、衣裳は新宿区の倫理規定に則って、Tバック・パンティであるが、トップレスはやらないので、どれくらいの客が足を運ぶかどうか。まあ、一般客なら、これで十分楽しめる。世界のレビューを見るにつけ、宝塚がいまだに存続していることは、実に驚嘆すべきこと。ちなみに劇場とキャバレーの違いは、上演の合間に飲食を提供するかどうかで決まる。新宿区の場合、食事は提供しないが、飲み放題のドリンクを提供するというサービスをつける。

昔は娯楽が多様化していなかったから、地方の人が上京して、まずすることは、

宮城(きゅうじょう)皇居を見て、

浅草でお参りや買い物を済ませ、

築地でお寿司を食べた後、

憧れのレビューを見たものだ。

ところが文化が多様化したために観光が一筋縄ではいかなくなった。東京タワーはまだ許せるとしても、なにがスカイタワーだ。あんなのもには、絶対に昇ってやらないと思っている東京人は多い。

夜間勤務シフト職員について付け加えると、フツーのお客様がおいでになれる、健全で楽しいトップレスなしの新宿南口とは別に、ジェントルマンのためのお店も用意しているところが、新宿区役所直営興業を一手に引き受けているキジ寅次郎と舎弟猫シャーのすごいところ。
ルックスがいい職員は、歌舞伎町へ送られ、女性は新宿区直営「キャバクラ追分」勤務となる。
通常のキャバクラと違うのは、ステージでTバックのビキニで踊ったり、接客するのが公務員であるということだけで、あとは、通常の店とさほど変わらないが、領収書が明瞭会計で、発行元が新宿区役所と書いてあるところがなんともさわやかで、客は、ぼったくられることもなく、安心して遊べる。
そこそこルックスの良い男性は、一定期間の徹底した訓練の後、「新メン」に送られる。訓練はかなり厳しく、途中で脱落し、「僕、駅ビルの居酒屋勤務か清掃員でいいっす」なんていう意気地のない若者もいる。見せるための筋肉をつくるためには、それなりの節制と訓練が必要だ。
筋トレ、歌やダンスの訓練を経て、美しい筋肉美に仕上がった男たちは、かつて西麻布にあった「Jメン」もどきの男性ストリップ・ショーを上演する。「Jメン」は、パリのムーランルージュの元ダンサー(アフリカ系米国人)が振付を担当し、毎回、海外でヘッドハントして連れて来たから、かなり質の高い男性プロダンサーにより、良いプログラムで上演されていた。話はそれるが、それを真似して作った、かつて新宿にあった男性ストリップ・クラブは、良いメンバーを集めて立ち上げたが、早々に店仕舞いしてしまった。客と男性タレントやDJを絶対に接触させてはいけないという鉄則をつくらなかった店に落ち度があると言えよう。市ヶ谷台町のマンション内にあった3LDKは、その男性ストリップ・クラブの白人DJと、米国人黒人ダンサーと、スイス人(!)白人ダンサーが居住して、連日ファンの女の子が入れ替わり立ち替わり訪れて、サーカス小屋状態だった。タダで、それらのイケメンとそこでデートできるのなら、なんで、お金払ってクラブへ行かないといけないの。それらのタレントはプロ意識が低すぎた。月収五十万円の固定給に客からのチップで稼げる職場を大切にしないで、自分の住居をハレム状態にしたから自分で撒いた種。パリのムーランルージュくらい、絶対に客と口をきいてはいけない、喋ったらクビくらいの厳しい就業規則をつくらないと、客との距離が保てない。
新宿区直営の女王様クラブもあり、エナメルのロングブーツの女王様に足蹴りされたい男たちが、列をなす。基本に料金にプラスして、ローソクいくら、鞭いくらと詳細な明細が提示されるため、安心して遊べるから、歌舞伎町の一般店よりも評判が良く、政権与党の政治家も公費でよく来訪する。
公務員にこんなことをさせるから、新宿区の歳入はどんどん跳ね上がり、区民は税金を払っていないのに、恩恵を受けられる仕組みが成立している。
すべては住民、国民のために。自治体公務員はは住民の皆様の奉仕者だにゃん。
この精神こそ、まさに、バーレーンや、亡くなったリビアのカダフィ大佐がやっていたこと。
ああ、美しき新宿区の公務員と公務猫たち。

 

新宿区の売りは、何と言っても

四ッ谷の甲賀伊賀忍者旧居住地区、

芸者の町神楽坂、

高遠藩の新宿御苑、

新宿追分の宿場町、

猫文学の最高峰夏目漱石の猫塚、

一陽来復の西早稲田の穴八幡宮

お岩の井戸、

須賀神社、

お花見名所の外濠公園だから、

馬の乗り場を作って、江戸時代の旅人になったつもりで、新宿区内観光ができる乗馬ツアーを行う。
渋谷区代々木の東京乗馬倶楽部まで行かなくても、新宿追分で、乗馬ができる。
ついでに江戸時代の旅人の衣装や侍装束コスプレ用品一式を新宿区がレンタルするから、物好きな人は衣装を着て甲州街道や青梅街道を馬で回り、スマホで自撮りすることもできる。
しかもそれが千円でできるところが、新宿区長猫之勝平のお手柄。衣裳レンタルも一式千円。

浅草の人力車や富士山の乗馬体験が屋から文句が出そうだが、多くの人、特に外国人観光客から喜ばれること受けあい。
新宿区の領土の境界線の内側に、関所代わりに花の咲く木々を植えるのは良いアイデア。
別の地域から新宿区に入ると急に緑が多くなり、樹木が発散するフィトンチッドが作用して空気がきれいで、昇り旗や火の見やぐら、瓦屋根のある木造建築、和服の人びとが多くなり、区全体が日光江戸村化しているのに気づく。

子供たちの服装もヨットパーカーやフリースではなく、短い着物や甚兵衛を着て、綿入れを羽織っている子が目につく。足は地下足袋か、下駄だ。
猫之勝ヒラは、区民が伝統的価値に目覚めるように和服を無料で提供している。
区役所に和装配布課をつくり、欲しい人はそこに来て好きな物を持って帰っていい。
伝統文化保存課の猫職員が全国の着物リサイクルショップから取り寄せたもの。人間職員を半分クビにして猫職員に置き換えたのでお金が余って仕方ないから、細部まできめの細かいサービスが可能になる。 

かつて東京都知事になった猫之助は、都知事職を3日間だけやって、あとは得票数が次点だった熊本の殿様に都知事の座を譲ったけれど、猫之勝平は3日で辞めず、日々新宿区のために働いた。むろん何の報酬も求めなかった。お昼弁当は、家からカリカリを持参している。
すべての動物や植物は、自然の営みをつかさどっている地球のお母さんが喜ぶことってなんだろうと察知できる。心がきれいな人間にもできるけれど、ほとんどの大人にはできない。地球のお母さんを喜ばせることが自分の幸せにつながることを本能的に知っているから、動物は人間よりはるかに優れている。
ちなみに、心の汚い動物はこの世にいない。
もし意地悪く嘘つきで傲慢な動物がいたら教えてほしい。そのような動物はこの世に一匹もいないが、そういう人間ならいくらでもいる。
だから心の美しさと私欲のなさという点においては人間より動物が優れているから、猫が区長になったことは正しい。
猫之勝平には新たな事業を開始するための条件が揃っている。
「若くて無名で貧乏」と毛沢東が言ったそうだが、動物は一様に皆貧乏であるけど、それを苦にしている動物はいない。
預金口座や不動産を持っていないけれど、必要なものは、すべて神様がご用意して下さるから、動物は日々感謝して生きている。
お金持ちの動物というのもいない。
動物を幸せにしてあげられるかどうかは、人間が正しい判断で行動するかにかかっているから、動物は片時も息をつく暇がない。
大抵の場合人間の愚かな判断により動物は傷つき、苦しみ生存をを危うくされ、命を落とし、多くのは種が絶滅させられた。
特に人間二十世紀に入ってからの動物の消滅には目に余るものがある。
動物が幸せを感じる社会や世界をつくらないと、人間は幸せにならない。
猫区長が住民税をを集めないで善政をしたことで、猫をはじめとする動物が人間の尊敬を集め始めた。
志を同じくするイヌ、サル、キジ、ロバ、ニワトリ、リスなどの候補者が区議も一議席、また一議席と取っていけば、正しいことが決められる新宿区議会になる。
動物の目は澄んでいるから、悪賢そうな目をした、貪欲、酒飲み、肥満、傲慢のエロおじさんや爺が選挙戦に出ても、だんだん動物に勝てなくなるだろうと、容易に予想できる。
送付済み

13-4 

新宿区転入
新宿区が住民税を取らない政策を打ち出したため、新宿区への転入者希望者が後を絶たない。
そこで猫之勝平は年度初めを境に、新宿区への転入希望者を認可制にした。
転入希望者は以下の質問に答えなければならない。
猫職員が目を光せて優良転入者のみを選択するから、新宿区の治安はおのずと良くなる。
新宿区への転入希望者へのアンケート:
このアンケート結果により新宿区民になれるがどうか決まります。
正直にお答えください。
現在すでに新宿区民の人でも、一年以内に審査があり、相応しくないと区長が判断した場合は、区からの転出を命じることがります。
注:猫之勝平は、既得権を認めない。すでに新宿区民であることにあぐらをかいている人ではなく、より良い新宿区民になろうと、日々努力を惜しまない人だけが、新宿区民だということを明確にしていることによって、区民の意識は格段に高くなった。
転入の際には、筆記試験があります。
新宿区民になりになれなくても新宿区は一切の責任を負いません。
(最後の一行は新宿区というブランド性を保つために入れてある)
あなたは刑事告訴をされたことが有りますか。
刑務所に収監されていたことのある方は期間と罪状を明記して下さい。
注:刑事告訴されたことのある人でも、簡単に最短一年で国籍を貰えてしまう日本と違い、新宿区は、元収監者を排除する。それは、猫之勝平が、徹底した治安の良さを求めているから。
あなたは精神病院に入院していたことがありますか。
あなたは動物が好きですか。
あなたは動物アレルギーをお持ちですか。
あなたは植物が好きですか。
新宿区民になると居住するすべての住民は、窓や玄関に植物を植えたり、植木鉢を置くことが義務づけられますが、それを枯らすことなく、道行く人々を楽しませることができますか。
あなたは煙草を吸いますか。
あなたは、パチンコをやりますか。
大体の人がここまでで挫折するので転入はできない。
しかし稀にそこまですべてをクリアする健全な人々もいるため、アンケートはさらにつづく。
あなたは、週に1回、劇場や美術館に足を運ぶか、映画を観ますか。
(文化に興味を持っている人が多くなると、区の文化風土が一段と高くなるから、文化教養のある人は歓迎される)
あなたは雑誌以外の本を読みますか。
(はい、と答えたら、転入が有利になる)
「はい」と答えた方は、ここ三ヶ月で何の本を読みましたか。
聖書以外で答えて下さい。
(この質問はメキシコ事情にさとい人しか笑わない。第57代メキシコのエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領は、アレな人として
有名なのだが、グアダラハラで開催されたブックフェアで記者に鋭い質問をされた。
「大統領、あなたが最近読んだ三冊の本は何ですか」と突っ込まれた。
何も読んだことのない大統領だったので、何も本の題名が出てこなくて、「聖書」と答えた。
「大統領、二冊目は」
「メキシコの政治史」
「著者は誰ですか」
「ええっと、ちょっと誰だったかなあ」
「三冊目の本は」
「.........」
大統領は一冊の本の名も答えられなかった。
日本にもいる、こういう人。
 
あなたはお買い物が好きですか。
(はい、と答えたら、転入許可の点数が増える。どんどん買って経済を活性化して欲しいにゃん)

 

あなたはペットをほしいと思った時にペット屋に行かずに、ノラ猫犬里親センターから新しい家族の一員として動物を引き取る気持ちがありますか。尚、新区長の就任と同時に新宿区内でのペットショップの営業は区条例違反となりましたので、すべて閉店しました。
新宿区民は月に最低一度は、着物を着て外出することが義務づけられますが、それを実行することができますか。着物をお持ちでない方には新宿区が無料でお貸しいたします。
新宿区伝統文化継承課には各家庭の箪笥から次々に着物や浴衣草履などが、寄せられるので、柄や色にうるさいことを言わなければ、月に一度の区民の義務は軽くクリアできる。しかし区長は区民がいずれ自前の和服を買うことを望んでいる。
ジーンズやTシャツは何枚も持っているくせに、自分の伝統的服飾文化を失ってしまったらオカシイだろにゃん、おまえ何人なんだ、その植民地根性どうにかしろにゃん。
まともな価値観を持った動物は生まれてから死ぬまで神様が下さったたった一枚の衣服で過ごす。戦争に負けたから戦勝国の人みたいな服装をしようとは、動物は考えない。
追加注
着用する伝統的な服装は江戸時代に限らず、平安時代が好きな人は光源氏でもいいし、もっと時代をさかのぼりたい人は、自分が大国主命(おおくにぬしのみこと)をやって、お取り巻きにはウサギをやらせるというのも楽しくていい。
大国主命風パンツはたっぷりしているので、工事現場の職場へそのまま行ったり、ヒップホップダンスができる手軽さも受ける。
ちなみに新宿区役所直営の日本歴史コスプレ店は好きな時代の衣装が着放題なので、外国人観光客は必ず足を運ぶ。
日本歴史コスプレ店のようなビジネス収入が新宿区の財源のひとつになる。区は自助努力をしてお金を稼ぐから、住民から税金を取ろうなどというさもしい考えは吹っ飛ぶ。
さて話を再び転入アンケートに戻そう。
以下の漢字にふりがなをふって下さい。
未曾有、踏襲、歯舞色丹、云々、画一的、市井など、読めて当然の漢字30題程度にふりがなをつけさせる。
(それが読めないくらいの程度の人には住んでもらわなくて構わないので、転入が拒否される)
国政レベルだと、基準が甘いので、漢字が読めなくても大臣や議員が務まる。
「未曽有」を「みぞうゆう」
「怪我」を「かいが」
「思惑」を「しわく」
「低迷」を「ていまい」
「破綻」を「はじょう」と読んだアホウ君や
「一日の長」を「いちにちのちょう」と読んだ濃い毛瓜子や
「託宣」を「せんたく」と読んだ暴走老人や
「雑言」を「ぞうげん」と読んだ森爺や
「疾病」を「しつびょう」と読んだ空きカンや
「云々」を「でんでん」と読んだしんちゃんや
「歯舞群島」が読めない北方領土担当相のお尻ペンペンや
「センダイ」原発を「かわうち」原発と言うSM大臣宮ちゃんなど、楽しい話題を提供してくれたが、これらの人は新宿区の住民にはなれない。
あなたは新宿区内に家を新築する場合、江戸時代と同様、敷地面積の半分しか家屋を建ててはいけないことをご存知ですね。
はい、いいえでお答え下さい。
残り半分は日本庭園でもバラ園でも雑木林でも構いません。江戸時代と違い、池を造ることは義務ではありませんが、カモなどの渡り鳥のために、池を造ることを奨励いたします。尚、庭の面積に黄色い看板を出した駐車場を含めることはできません。ただしその駐車場が家屋の一階や地階部分にある場合は問題ありません。
つまり高いお金を出して新宿区内に土地を買っても以前のように敷地面積ギリギリに集合住宅を建築して家賃収入を期待しようという強欲大家のもくろみは達成されない。既に建っている場合は、それが存在する限り問題ないが、敷地面積の半分という区条例が厳格に適応されるから同じように建て直すことはできない。
今あるものを手をかけて大切に使うか、区外に引っ越すしかない。
新宿区への新規転入は一見難しいことのように見えるが、心の優しい自然を愛する動物好きの人なら、なんら問題ない。
人間のお母さんなんか都内のお葬式に行く時、家紋のついた黒の喪服の着物のまま原付バイクにまたがり、出かけてしまう。
喪服の下に黒スパッツを履いているので、風でめくれても全然問題ない仮面ライダー。
コートを羽織り、ショートブーツを履いているから、原付バイクの運転は楽勝だし、例えば杉並区和田に堀之内斎場の告別式に向かうと、斎場の駐車場でさっと黒の草履に履き替え、コートをヘルメット入れに突っ込み、しおらしく着物で登場することが可能だ。
原付バイクと着物の喪服という組み合わせは可能であり、伝統的な格好をするために、原付バイクが必要だった。
電車で行ったら痛くて草履が履けないので洋装にするので、着物が着られないし、着物でタクシーを使ったら往復一万円以上するから、和服にショートブーツでスクーターで目的地へ行き、足は現地履き替えが一番正しい
日本の原付バイク文化は八十、九十年代にピークを迎えた。女の人など、ドレスを新調するかのごとく、原付バイクを乗り換えた。三千キロ乗ったら次は何色にしようか考えを思い巡らせた。リード、タクト、三輪、スタンダップという優れものまであったから、女の人でも力を使わないでバイクを立てられた。車輌税も年間千円だったのでお財布に易しかったのに、それが一気に二倍になった時には、みんな慌てた。
車の数を減らして、原付バイクを奨励するためには、まず緑色の身を包んだ二人組のチクリ監視員やめないとね。
市民の小さなミスを見つけ出して報告させるのは、戦時中の相互監視システムみたいで、気色悪いと、市民からの苦情が絶えない。
不法駐輪摘発件数によって緑服の人たちを歩合制で働かせる暇があったら、国会議員のお金管理の不正摘発をみつけ出すために、正義の猫市民を、緑の制服を着せて働かせたらいい。どんどん見つけ出して報告するはず。
猫社会では「猫に小判」の価値観が徹底していて、金品をもらって見返りを求めることは一切ないから、猫は信用できる。
猫は殺されても七回生きるから、猫を脅したところで意味がない。
猫区長は車を減らす対策を取っているため、新宿区民は比較的時間に余裕がある時など、区内であれば電話一本でロバを手配してもらい横座りて行くという選択肢もできたことは特筆されるべきだ。
ロバや馬が往来を歩くようになってからというもの、それらが落とすおみやげを清掃し、歌舞伎町裏の竹薮の中にしつらえられた堆肥場へ馬で運ぶ絣のもんぺ姿の人をよく見かけるようになったが、あれは新宿区保健所の職員
区役所内の頭を使う仕事は、あらかた無給の猫職員にとってかわられてしまったから、人間職員の仕事はおのずと限られてくる。三K勘弁など言おうものなら、翌日には人事課の猫によって解雇を通告されるから、笑顔で働くしかない。
人事課の壁には宝塚の「ブス25条」が達筆で書かれて貼ってある。
新宿区役所の職員には、これが適応され、5つ以上の項目に当てはまった場合は、人事課の猫職員により、容赦なく解雇される。
 1. 笑顔がない

2. お礼を言わない
3. おいしいと言わない
4. 精気がない
5. 自信がない
6. グチをこぼす
7. 希望や信念がない
8. いつも周囲が悪いと思っている
9. 自分がブス、醜男であることを知らないブス、醜男
10. 声が小さくイジケている
11. なんでもないことにキズつく
12. 他人にシットするブス、醜男
13. 目が輝いていない
14. いつも口がへの字の形をしている
15. 責任転嫁がうまい
16. 他人をうらやむ
17. 悲観的に物事を考える
18. 問題意識を持っていない
19. 他人につくさない
20. 他人を信じない
21. 人生においても仕事においても意欲がない
22. 謙虚さがなく、傲慢である
23. 人のアドバイスや忠告を受け入れない
24. 自分が正しいと信じ込んでいる
25. 存在自体が周囲を暗くする

 

あなたのまわりには、まさかいませんよね、上記25条全部に当てはまっている人って。

いたら、教えて下さい。ブス年鑑ウェブ版に掲載するけど。

更新につき、再送必要!


13-5

 

猫之勝平の新宿大改革

「花粉症で睡眠障害になったから1カ月くらい自宅療養したい」とか、「車の調子が悪いからレクサスを買ってほしい」とか、甘利ネタを連発すると文句が出るから、害遊で国会を逃げ回り、大判ふるまいをしている奴のこともチラ書きするとして、人間で政治に携わる輩には、とかく人格に問題があるのが多いけれど、猫は、その点、しっかりしている。
その高潔さは、小林一茶に、
「おい、人間、そこのけそこのけ、お猫が通る」という有名な句を書かせたほどである。
人間「抱っこしてって鳴きながら、すり寄って来る猫ちゃん、大好き」
猫「してほしいって、誰が言った」
人間「撫でるとグルグル言ってくれる猫ちゃん、最高」
猫「たまにリップ・サービスしてるだけ」
人間「本当は構ってほしいのに、わざと後ろ向きに座ってる猫さんって、いじらしいくて、思わず抱きしめちゃうわ」
猫「構ってほしくないから、そっぽ向いてるんだから、放っといてくれ」
人間「うわあ、かわいい、おでこ、撫で撫でしてあげましょうね」
猫「あのさ、見るだけにしてくんないかな」
人間「たくさん、おねんねするのね、この猫さん」
猫「人間に、可愛い猫さん役の演技しなくていいからさ」
という具合に、猫は、気高い生き物だから、人間の浅はかな思考回路や行動を心底軽蔑している。
新宿区長猫之勝平は、教育委員会の立て直しをすることにした。いじめを出すとその学校の校長は、退職金五千万円が二千万円に減るから、なかなかいじめ認定をしないけれど、校長そのものを猫校長に替えることによって、その問題は、容易に解決がつく。
校内には、教育委員会から派遣した数匹の、教育委員猫がいて、子供達の遊び相手になったり、いじめに遭っている子がいたら、すぐさま駆けつけて、猫パンチでいじめっ子を攻撃するなど、学校教育に貢献している。
新宿区猫文学ゆかりの地、牛込にある夏目漱石の猫塚から来た文学猫は、放課後、子供達に、詩や俳句の指導をしている。ドッジボールは、突き指をするから、しないようにと、ピアノやバレエや書道の先生から言われているお上品なお稽古通いの子供達は、文学を楽しむことができる。
今日は、宮沢賢治の「雨にも負けず」を取り上げた。
「雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ※(「「蔭」の「陰のつくり」に代えて「人がしら/髟のへん」、第4水準2-86-78)
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ」
「これが宮沢賢治の雨にも負けずだけど、君たちのオリジナルの雨にも負けずを
書いてみようにゃん」
「はーい、文学猫先生の巻で書きました」
「飛鳥くん、どれどれ、見せてご覧」
雨にも負けず
風にも負けず
野良犬にも保健所の捕獲員にも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも元気に毛づくろいしている
一日に猫缶3個と
ささみと少しのお刺身を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
新宿区のために奔走する
そんな猫にわたしはなりたい」
「いいねえ、飛鳥君、二重丸。他に、誰かいないかにゃん」
「はい、先生、私、自分のことを書きました」
「どうぞ、ヨーコくん」
雨にも負けず
風にも中傷にも負け
丈夫なからだをもち
いつもジョンとベッドにいる
一日に白米四合と
味噌と多少の焼肉を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
ビートルズのために
微笑んでいる
そんな妻に私はなりたい」
「いいねえ、ヨーコ」
「僕も書いたよ」
「それでは、洋平君、どうぞ」
雨にも負けず、どんな国民の声も聞かず、
学者の意見は、考えが違えば無視し、
法案成立のためには、人間カマクラもする
そんな政府は、私はイヤだ」
「はい、花丸あげましょう。それでは、今日の詩のお勉強はこれでお終い。
さあ、良い子のみなさん、これから、俳句のお稽古ですにゃん。お題は、猫。楽しみだにゃんねえ」
子供達は、いろいろ頭をひねって、こんな俳句を捻り出した。
猫たちに お椅子取られて 立ちネット
新猫に シューと脅すな 世話焼けよ
首の鈴 勝手にはずすな お約束
目を閉じて 耳で反応 自分の名
外行くな 足が汚れる ノミもつく
にゃあと来た 無視しろ隣家のブタ猫は
仔猫ちゃん 帰っておいでと 母は呼ぶ
ササミ茹で 猫喜ばす 母の愛 
シンちゃんは この道しかない 戦争だ
でくのぼう ルビ振り文書で 答弁也
危険だな 戦犯の孫 脳タリン
最後のみっつは、お題からそれるが、まあ、許容範囲。とまあこのような具合で、新宿区教育委員会は、猫委員を入れることで、体制を一新させた。
新宿区長から抜擢されたのは、池袋の駄菓子屋リコシ商会で、駄菓子やリコシの行う勧善懲悪紙芝居は、子供達に大人気だった。区民教養講座「社会のしくみについて」シリーズでは、講師にムーの飛鳥昭雄氏や、白龍会の青い目の侍ことベンジャミン氏や、浜松の林博司氏にナスカや縄文のヴィーナスの特別授業をしてもらうから、高学年以上の生徒たちは大喜びで新宿区の子供達は、明るく元気で知的に育つのであった。
新宿区では、学生のブラックバイト問題を深く憂慮し、猫之勝平区長は、新宿区直営店舗をつくり、区内の学生に就労の機会を与えた。
直営店舗は、新宿区内の各出張所に設ける9時5時店舗の他、24時間寝ない街にふさわしい歌舞伎町、学生の街早稲田通り沿い、気取った目白の女子大前、牛込神楽坂の芸者検番地区、新宿追分団子屋の裏、四谷三丁目交差点消防署隣、外濠通り東京ボート倶楽部横、防衛省正門横、中井商店街、山手通りこちら側の佐伯祐三アトリエと、山手通りあちら側の林芙美子記念館の横、ついでに新宿中村屋の娘俊子に失恋した中村彝アトリエの通りなど、あらゆるところに、新宿区直営店舗を作った。
そこでは、新宿区戸山団地だったところで生産されたメイド・イン新宿の野菜から始まり、
江戸時代から新宿区の名産であったとうがらし製品(七味とおがらし)、追分だんご、インド人独立の士ビハリ・ボースのインドカリー、紀伊国屋本屋の前身の炭団屋の炭や炭団、東京名物手作り誂え足袋などの商品の他、区内で上演している劇場や能楽堂、映画の割引チケット(神楽坂芸者の検番やお寺での桜踊りショーなどの入場券を含む)を販売していた。
コンビニのようになっていて、切手も買えれば、公共料金の支払いもでき、宅配便も出せるので、近隣の住民から喜ばれている。
駅のコインロッカーは非常に不便で、あのサイズに無理にブランド物のスーツケースを突っ込んだりすると、ガリガリとこすれ傷がついたりすることがある。だから、新宿直営店が、荷物預かり所も兼ねれば、とても便利だ。70年代の後半にはまだ新宿南口に、スキーからリュックサックからいろいろ預かってくれる小さな店が出ていたから、大きなものでも気兼ねなく預けられて便利だったのに、そこらへん一体がルミネになったものだから、荷物預かり屋さんが姿を消して、代わりに駅構内にコインロッカーが出来た。百円玉を持ち合わせていないと使用できないのは非常に不便だから、新宿直営店で、対面で預けた方がずっといい。さあ、スキーでもスーツケースでもなんでも新宿直営店に持ってらっしゃい。
ただし、こういう物は、この人に預けないでね。
山田に練炭、
高市に電波、
甘利に賄賂、
丸川に福島、
島尻に沖縄、
安倍に軍隊、
黒田に金利、
石破に軍法、
片山に人権、
稲田に歴史、
森に五輪、
高木にパンツ。
新宿直営店はコンビニを進化させていて、使う人の立場になって計画しているから、猫之勝平区長のやることは、気が利いていると、人間達からすこぶる評判がいい。
しかもコンビニと違い、過酷なフランチャイズ料金に苦しむオーナーの暗い顔を見なくて済み、通常のコンビニより高い時給を支払われている学生達が、猫店員に手伝ってもらいながら、楽しく働く雰囲気が魅力だ。
むろん店内は無料WiFiが使用可で、椅子やテーブルが用意されているから、飲食も可能。
一番の売りは、食材の多くを新宿産にしていることだろう。
これまで出張所は区民が保険料や区民税を払う場所だったが、今では、職員が、直営店舗で、「いらっしゃいませ」と猫撫で声で、お客様である区民の皆様への接客業務をして、新宿区の行政運営費用を捻出する。
一方、老人が経営している空き部屋だらけの老朽化したアパートを新宿区が借り上げて、内装を施し、新宿区直営旅館「おしん」第一号店が開店。区の職員、とおしんの格好、
国内外から新宿区を訪れる人々に、安くて安全で、江戸時代風や、縄文式インテリアのかっこいい部屋を提供する宿泊施設も開始した。
新宿区保健所衛生課のアベレージレベルの女性職員は、おしんのような地味な着物、ちょっときれいな女性職員は、お座敷芸者風の衣裳で懸命に接客に取り組むことが要求される。男性職員は、こざっぱりした番頭さんの作務衣姿で、雑巾がけなどをする。そこには、背広にネクタイ、上から目線や投げやりな態度といった他の自治体の公務員に見られる特徴は一切認められないことが、新宿区役所の誇りである。
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猫之勝平の大活躍

ゴルフ、フィットネス、映画観賞、コンサートと連日、レクリエーションとグルメを満喫しながら、政府専用機で外国へ行き、日本国民の血税をばらまいている政治家とは違い猫之勝平は、まじめだった。もっとも、まだ子供の猫だから、長老猫にゃんぐさんや、元都知事の猫之助、政党党首のアナスタシアから学ぶことがたくさんあり、遊ぶ暇などなかった。
猫之勝平は、研究、実践、試行錯誤に余念がない。
役人をのさばらせない。自治体運営は、この一言に尽きる。
目安箱をつくって、区民の皆さんの意見を聞こう。
職員の対応や仕事に文句のある人は、泣き寝入りせずに、お申し出下さい。
区民に人気がない人は辞めさせて、猫職員と取り替えるにゃん。
人間、サボってるんじゃないよ。
シャッター街商店街を作らない。
そのためには、
「都心の風土に大型スーパーは似合わない」
「私は個人商店でしか買わない」
「多少多く払ってもかまわないから、小さな個人商店で買いたい」
「スーパーは嫌いだ」
「買い物は自分のためにするのではない。
一生懸命に頑張っている個人商店を経済的、精神的に助ける善行だ」
と思っている消費者に頑張って買い物をしてもらう必要がある。
ところで、新宿区民が区外へ転出するには、どうしたらよいか。
いたって簡単。区の人口が減るので、転出はいつでも歓迎。
一度転出すると、戻って来る時には、転入試験を受けないといけなくなるので、注意。
猫之勝平が区長になってから、新宿区はイベント満載だ。
年がら年中、大新宿まつりをやっているようなもの。
内藤のお殿様唐辛子祭りが良い例だ。
祇園祭を見るには、七月に京都へ行かないとだめだが、内藤のお殿様唐辛子祭りは、隔日で開催されている。
行列の人々が皆、両手に赤々と実った唐辛子の造花を掲げて、豪華衣裳で練り歩く。
お祭りの日にだけかり出される町内会の人だけではなくて、新宿区の職員及び、そのために臨時雇いした人材を起用している。
大勢の人が、甲州街道を通った大名行列のキャラに扮して、先頭の奴さんが毛槍を持って踊る後ろについて歩く。
これをするだけで、西口地下にいた浮浪者を全員雇用でき、新宿区では、浮浪者という言葉が死語になって久しい。だって、支払いは、現金ではなく、地域通貨の新宿ビットを使っているから、問題ない。
新宿ビットは、地域通貨で、区内のほとんどの店で使用できる。渋谷区や台東区では、浮浪者関連の果てしない闘いが続いているようだけれど、新宿へおいで、仕事があるよ。ただ、衣裳を着て、前の人に続いて歩くだけの簡単なお仕事です。やりがいがあるよ、見る人がみんな喜んでくれて、写真を撮ったりビデオを撮ったり、拍手で迎えてくれるんだ。ま、ディズニーのパレードダンサーの新宿版だと思えばいい。
土方やるより、こっちの方が実入りがいいし、楽しいと噂が飛び交い、新宿区中の浮浪者や失業者や、学校から帰るとひとりぼっちの鍵っ子や、暇はあるけどお金がない年金受給者が参加したから、行列の長くて豪華なことといったら半端ではない。参加したら年齢に関係なく、新宿ビットで時給が支払われる。っていうか、暮らしに困っていないご隠居さんも、近所の婆さんと油売ってる暇があったら、参加だにゃん。
「素晴らしい祭り!隔日で豪華パレードが道を練り歩く!一見の価値あり!」と、フランクフルター・アルゲマイネやル・モンドが書くものだから、世界中から観光客が押し寄せる。
大名行列は外濠を通って神楽坂へ行き、芸者一同と合流して、新宿通りと、靖国通りをまわるコースを、1日に複数回歩く。
インドネシアのバリ島の行列のもっと大がかりなものと思っていい。こちとら、天下の新宿、予算が違うから、大きくやれる。
いつ観光客が来ても喜んでもらえるように、用意万端、抜かりがない。
これまで踊る男子の職業は、テーマパークダンサーか、インストラクター、はたまたショーパブしかなかったけれど、これからは、殿様役で通りを闊歩したり、黒装束でアクロバット忍者ヒップホップダンスもできるから、もう水商売やバイク便から足を洗える。
新宿区役所のエンターテイメントタウン娯楽演芸伝統芸能体育課長と副課長に就任した興業師猫のキジ寅次郎と舎弟猫のシャーは、区内の学校の演劇部やどさまわり同好会を配下に置き、様々なイベントの仕込みを仕切っている。餅は餅屋だ。 
新宿区の粋な民族派の人々は、新宿区観光課の計らいで、外国人観光客にお花、日本語、日本舞踊、書道を教える先生業を個人的に始めた。そういうことを習いたい人は結構多い。
タイへ行くと、そこかしこにマッサージ屋の看板が出ているのと同じで、区内どこへ行ってもお茶やお花や日本舞踊が学べる外国人観光客相手に「てぃーせもにー&ふらわーあれんじめんと」の看板、『ジャパニーズダンス』ならまだいいけれど『盆ダンス」なんてわけのわからない看板を出しているおばあさんもいる。
山村へ行くと、どこもかしも家に民宿という看板が下がっているそれみたいなかんじで、ちょっと住宅地に入ろうものなら、「下宿」「お部屋」「民宿」の看板だらけ。
ところで、なぜ、新宿ビットがいいかというと、新宿ビットは、1ビットが1円ではない。最初に猫之勝平が新宿ビットを作った時には、1ビットはわずか、0,1円だった。面白半分で買った区民が大勢いた。ところが、猫之勝平が善政を行うことによって、対日本円の新宿ビット通貨の価格が、1ビット10円になった。つまり、新宿区長就任当時に新宿ビットを千円分(一万ビット)買っておいた人は、今では、十万円分の価値がある。売ってもいいし、そのままにしておいてもいい。利息分だけ使って、元金だけをビットトレードに放置しておけば、知らないうちにまた上がる。持ち主が働かなくても、新宿ビット自体が働いているので、持ち主はうはうはしているだけでいい。これは新宿ビットというブランド力による。これが安達ケ原ビットとか、田布施ビットだったら、ブランド力の不足でこんなに上がらないかもしれない。新宿ビットは今、最も注目されている。ところで、Tカードのつまらないところは、ガソリンスタンドや飲食店、レンタルビデオ屋で貯めても、消費者が一方的に受け取るだけでその反対はない。退屈。
新宿ポイントのすごいところは、双方向性にある。しかも、価値がどんどん上がって行く。
新宿ビット以外にも、新宿区の経済が大きく変わった原因がある。
市場にあるお金は日銀が出した量だけだったけれど、ものを買うためのお金というか、買うのに必要な交換価値のあるものは、それはお金である必要はなく、それは誰もが自分で作り出せる。これまでは、ありがたがって年金をもらっていたけれど、少ないと思ったら、子供に頭を下げてお小遣いをもらうという屈辱的なことをしなくてもいい。自分で価値がつくれて、それで何か品物やサービスを買うことができて、つまりそれはお金を得る手段は無限にあり、別にどこかで雇ってもらわなくてもいい。
恥ずかしい思いをしてまで職業安定所というかハローワークに行かなくてもいい。横文字にしたところで所詮職安で、横文字にしてもそういう場所に変わりはない。老人や主婦だけでなく、自分にこういう売りがあると思った人たちは誰でもみな、自分の価値を見出して、それが商品であることを知って、欲しい物を自分の力で手に入れ始める。
服飾系大学や専門学校を出た人たちは、家の扉や外壁に『縫製いたします』とか「お洋服つくります」、「サイズお直し」など看板を掲げた。
昭和なら結構、普通に見られた光景だった。
手作りマフーつくりますや、セーター編みます、あなたのサイズのサンタクロース衣裳いかがなどの看板が出す人が増えた。
区の広報にはそれらの情報を無料で掲載し、区のHPでも同様に情報発信している。
これまでは区の広報は新聞に挟み込むため、新聞を取っていない家には配布されず。今のように新聞離れが低くなり広報を挟み込むにも新聞の配達部数自体が落ちているので、情報が区民全体に行きわたらないこともあった。
これからは、新聞販売店に手数料を払わず、イヌの散歩がてらに近所に配ってくれる人たちに新宿ビットを出すことで解決。新宿ビットがもらえるので、多くの犬の飼い主が参入。大手新聞社を儲けさせない原因のひとつになった。
犬の散歩をしながらおこずかいゲット。犬も嬉しい。飼い主も嬉しい。区は現金の出費がなくなるから三拍子揃った。
さすが、経済に強いお茶屋さんちの甘えん坊猫もうふが担当しているだけのことはある。
経済的に困らなくなり、地域が緑化され、自然環境が良くなると、人間は精神的に豊かになる。
その調子、いいぞ、このまま、進んで行こう。経済に強い、地域通貨にビットコインの要素を足した新宿ビットは、世界に類を見ない投機対象の地域通過として機能している様は、ノーベル経済学賞を受賞した偉いおじさんをも、ぶったまげさせた。しかも、発案者は猫だ。お金に困っている人がいない地域は、素晴らしい。
電信柱から突如鳥のわざとらしいウグイスの鳴き声がするような嘘はだめ。
本物の鳥が鳴くような環境にすれば録音の鳥なんか不要という信念に基づいて、街に木を増やしてきた。
「さあ、木を植えよう」
「鳥の巣箱を掛けよう、ウグイスやメジロが来てくれるように」
人間も猫も、一緒になって、ベートーヴェンの『第九』の歌を歌いながら、苗木を植える、花の球根を植える。
みんなでつくる新宿区、緑を愛する新宿区。
自然の宝庫、新宿区。なんという光景。
長老猫にゃんぐさんは、思わずつぶやいた。
「時よ、止まれ、お前は美しい」
その時、どこからともなく弾丸が飛んできた。
それは、クリームベージュの猫の額に当たって、頭部を貫通した。
その場の空気が凍り付いた。
崩れ落ちるジークフリート。
救急車やパトカーの警笛。
血だらけのジークフリートを乗せて国際救急医療センターへ走る救急車。
区役所前に集まった人々の前で号泣する長老猫にゃんぐさん。
にゃーん、にゃにゃにゃーん。
「どうしたの、にゃんぐさん」
「おお、ジークフリート」
「にゃんぐさん、びっしょり汗をかいているよ」
人間のおかあさんの家の障子と歌麿の暖簾が見える。
「夢だったのか」長老猫にゃんぐさんは、ブルブルっと頭を振った。
「大好きだよ、にゃんぐさん」そう言うと、ジークフリートは、長老猫にゃんぐさんのほっぺをぺろぺろなめ始めた。
にゃんぐさんは、ジークフリートをひしと抱きしめた。
ジークフリートは、グルグル言った。
「この子は、我々の宝物だ。素晴らしい事業をたくさん成し遂げた。
しかし、ものごとはすべて、相対的だ。
多くの人たちにとって、素晴らしいことでも、他の人にとっては、全く反対の悪いことになる。
素晴らしい仕事を多くしただけ、ある人々にとってジークフリートは目の上のたんこぶで、憎しみの対象となる。
ジークフリートは、正しい良い仕事をたくさんしたことによって、多くの敵を作ってしまった。
この子を守ることは、社会を守ること。世界を守ることにつながる」
長老猫にゃんぐさんは、クリームベージュのジークフリートを抱きしめる手をゆるめなかった。
抱っこが大好きなジークフリートは、幸せな気持ちで抱かれて、にゃんぐさんの首筋に自分の頭を押し付けた。
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住民税無税区新宿
働く公務員 - ウサギ熱利用百円花屋 - 野良対策 - 
税金不要転入資格引越自由゛い外国人保険料未納阻止違法人居住者に優しくない区 観光客熱烈歓迎公務員羽織袴さむえ着物 芸者 SMバーよりよほどまし末広てい落語ルミネ吉本マクドナルド牛丼蕎麦屋天井ぷらカーネギー串あけお好み焼き区長権限お取りです潰し 呉服屋 三越 昭和天皇 下駄 坂町足袋 神楽坂芸者後継者育成 猫 経費削減 人減らし 区役所庁舎屋根瓦各かい屋上庭園 造った建物だけお取り潰しを中村免れ 紀伊国屋書店田辺茂一 銀座きれいどころ 本を買い 中村屋インドカリーボース 紀伊国屋ホール インド子供達によるボース娘 プロデューサー イベント性強い 沖縄えいさ 若者解放 原宿 サム マイム ペルーコンドル 舞踏 花園神社地所ろ 赤テント保健所入口 芸能新宿西口広場通路歌声喫茶
柴田 おかあさん 凱旋上演 百人のレオタード埋め尽くす 警察ダンサーに触らないで下さいすぐ警察がもっと悪い 君が鋭い正義感 金曜日 猫助と猫助アナスタシアにゃんぐさん
四ッ谷本塩町の庭 昼寝 幹部 打ち合わせ しんみち通りの中華屋の猫ニンハオと 日中猫会談

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高齢のきんさん、ぎんさん

新宿区の在住者たちはみな新宿区民であることに誇りを持っている
お父さんたちも銀座や新橋で飲んだりしないで、安心明朗会計の新宿区直営バーや居酒屋で飲み食いする。
消費生活を新宿区で行い、区内にお金を落とすことで区政に協力している。
新宿区長猫の猫之勝平ことジークフリートは、人間のおかあさんや、猫家族に思い切りかわいがられているから
何一つ不自由することなく、幸せで充実した猫生を送っている。
今は、ブレインの猫達の指導で、多くを学びながら、新宿区長として、どんどん活動をしていることが、とても楽しく、充実している。
有り余る幸せを分けてあげたいほど、ジークフリートは神と人と猫から愛されて、成長した。クリームベージュの毛は、ふさふさし、身体がむっちり、しっかりしてきた。世の中には、その反対に、幸せでない猫や人間もいる。
アレキサンダー大王がアリストテレスを師としたように、優れた人物には、幼少の頃から、優れた教師がいる。
ジークフリートの場合、まわりの猫達がみな逸材だから、師に事欠かない。
「自分の不幸などに文句を言わないということは、他人の不幸などにも鈍感だ」という人がいるが、それは必ずしも正しくない。
虐げられている人というのは、教育も情報も足りず、日々の糧を得るための労働で手一杯だから、自分の不幸などに気づかないか、又は、気づいても、時間的余裕がないため、積極的に行動を起こせないことが多い。
しかし猫之勝平の場合は、ジークフリートちゃんとして人間のおかあさんにかわいがれれていて、ごはんの心配がないから、捕食のために、一日の大半を使わざるを得ない気の毒な野良猫と違って、勉強とための時間がいくらでもある。
自分たちが地球上に生まれ、本来は幸せを享受できる動物であるという基本的動物権を行使するための運動に参加できない気の毒な動物のために、時間が自由になる猫が一番向いている。
猫は気の毒な犬たちと違って、鎖につながれたりしていないから、行動範囲が広い。
それに有史以来、猫は人間をけらいにして猫に仕えさせてきたという、栄光の歴史がある。
それにひきかえ犬ときたら、早々に人間社会に組み込まれて、いいようにこき使われてきた。
「人間にお仕えして幸せです」としっぽを振る卑屈な態度で、犬は人間たちをつけあがらせてきた。
喜んでやっているから始末に悪い。
奴隷が奴隷であるという自覚がなければ、どうやってその境遇から救い出せるというのか。
猫は人間より上の位にあることが歴史的に証明されていて、現在に至るまで猫の労働力を期待している人間はいなく、猫の思いがけない行動に一喜一憂するおめでたい人間を作り上げてきたことは、我々猫にとって勝利である。
今、猫だからこそできることを社会にために、我々猫はやらなければならない。
猫が行動を起こすことで、それが、イヌ、ウサギ、フェレット、リス、インコ、ハムスター、カブトムシなど日本中のペットの間に広がり、我々は大きな動物革命を起こすことだってできる。
「ちょっとそれ、大袈裟じゃないの、きみ」と言われたら、「いや、決して大袈裟じゃない。
僕は自然革命と言ってもいいくらいだと思っている」と言い返そう。
心を許しあっている同士が集まって革命の話をするくらい胸が躍り、血が騒ぐことはない。
二十世紀初頭のインテリはみんなそうだった。
今の人は、牙を抜かれたトラのように大人しくスマホの画面見てるからだめだ。ジークフリートの若き血がたぎっていた。
新宿区長猫之勝平は目安箱に入っているすべての意見に目を通す。速読の訓練をしているから、
どんなに長い文章も一瞬にして内容を把握する。
「新宿区役所内、区長室、猫之勝平区長殿、
娘が大変なことになってしまいました。学校へ行く時に、新宿駅から西武新宿線に乗り換えて通学させております。歩道を歩いていたところ、煙草を吸いながら来た男性が歩いて来て、すれ違いざまに、男の手の煙草が娘の剥き出しの腕に触れて、娘は叫んでしまいました。その声に驚いて男は立ち去り、娘はその場に座り込んでしまったのです。幸い、まわりの方たちが娘を立たせて、西武新宿線の改札までお送り下さったそうですが、娘は怖さとショックで、その日は一日中保健室で泣いていたそうです。担任の先生から電話があってびっくりし、怒りを感じます。新宿区は他の区と違い、路上喫煙者から罰金を徴収していないから、そのようなことになるのです。きちんと罰金を課している千代田区だったら、このような路上禁煙傷害事件は起きません。12歳の娘の腕に火傷などさせられ、泣き寝入りをしないといけないのですか。母親としてどうしても納得ができません。新宿区も路上喫煙者への罰金制度をお願いいたします。娘が不憫でなりません
「毎年、新宿おどりの祭典を拝見させていただくのを楽しみにしております。世界の民族舞踊を一度に見られることを幸せに思います。しかしある年より、世界の民族舞踊の中に、ジャズダンスが入っていたのに驚愕を覚えました。どうして、そのようなことになってしまったのか、ジャズダンスは民族舞踊ですか。米国の民族舞踊ではありません。米国の民族舞踊と言われるものは、スー族やアパッチ族の舞踊、フランス系移民のフレンチルイジアナの踊り、ミネアポリスのドイツ系住民によるペア舞踊などは、範疇でありますが、1917年以降に誕生した舞踊であるジャズダンスは含まれません。もしジャズダンスを新宿おどりの祭典に入れるとなると、モダンダンスをドイツの踊りとしていれたり、バレエをイタリアやフランスやロシアの踊りとして入れてもいいことになります。同じ理由で、タップダンスを新宿おどりの祭典に入れることはできません。ランカッシャーから来た移民がカナダでクロッグダンスを踊るのは、カナダの民族舞踊の範囲に入ります。アイルランド移民と出会う前の黒人奴隷が踊っていたソフトシューは西アフリカ舞踊に分類し、靴を履いて音を出し始めた時点の古いタップダンスであったバックダンスから現在に至るまでのタップダンスは、米国の民族舞踊ではありません。新宿おどりの祭典担当者が、舞踊の知識に欠ける不適格な人材であるため、そのような許されない事態が起きたのです。猫之勝平区長になって、文化興業担当者が、縞の背広に帽子をかぶって腹巻きをしたキジ寅次郎さんになり、「無教養で無知なくせに上から目線でダンサーの女の子たちを物欲しそうに見ていた肥満の前担当者」をクビにして下さり、今ではキジ寅次郎さんがプログラム編成をして下さいますので、新宿おどりの祭典は国連ユネスコからも評価され、ユネスコの公式行事として開催されるようになり、各国の大使館からの後援名義も取り付け、新宿区民として誇りに思い、一観客として大変喜んでおります」
猫之勝平殿、折り入ってのお願いです」
猫之勝平は、目安箱の中の一通に目が釘付けになった。見事な達筆で書かれていた。
「私は牛込の弁天町に住む、現在99歳の田中ぎんでございます。
最近目がぼうっとしてまいりましたから、これが私が今生でしたためる、最後の手紙となることでしょう。
私には双子の姉がおりまして、名前をきんといい、市ヶ谷本村町に嫁いでからずっと、大本営のあちら側におります。
私たちが若かった時分には、互いに坂を登ってぐるりと回って頻繁に会っておりましたけれど、大本営が市ヶ谷自衛隊駐屯地になり、六本木にありました防衛庁がミッドタウンになり市ヶ谷の古い建物が壊され、要塞のような仰々しいものが建ち、名前を防衛省と変えてからというもの、私たちは夜年並みに勝てず、お互いを訪問する回数もぐっと減りました。
新宿区長が猫之勝平様になって以来、区民の暮らしは日増しに良くなってまいりました。
行き過ぎた開発に待ったがかけられ、その土地が本来持っている住民に優しい町に変わりました。ありがとうございます。区民の一人としてお礼を申し上げます。このように良くしていただいておりますのに、このうえ、さらにお願いというのは本当に心苦しいのでありますが、私の夢をお聞きいただけますでしょうか。
もし、防衛省の中を通って行くことができましたら、私は姉のきんに簡単に会えます。老い先短い私の年齢を考慮していただき、私たち姉妹に、防衛省の中を通過できる近道通行権をいただけませんでしょうか。
私が猫之勝平様にして差し上げられることは、多くはありませんが、私たち姉妹が戦争中のことを「田中ぎん、きんの大本営隣組物語」という題で、千夜一夜お話シリーズを、戦争をご存じない地元の皆様にお話しさせていただくことならできいます。私たちの記憶は日々遠のいていきますが、皆様にどうしてもお伝えしなければ死にきれない気持ちですので、この千夜一夜シリーズが終わるまでは、使命感を持って姉妹で懸命に記憶を保ちます。これが終わったら私たちの命が尽きます。その時は、私たちの話をどなたか文章にまとめて、新宿区立歴史博物館の資料室に証言資料として保管し、閲覧者がいらしたときには、いつでもご覧いただけるようにご手配下さい。
新宿区長猫之勝平の脳裏に稲妻が走った。
「行動を起こしなさい」地球のおかあさんが、ささやいたように感じた。
猫之勝平はただちに、新宿区庁舎を後にして、四ッ谷の自宅へ帰った。
「あら、ジークフリートちゃん、今日はまた、一段とかわいいわね、おかあさんが抱っこしてあげましょうね」
とすり寄ってくる人間のおかあさんをそそくさと無視した。
日本最多当選猫のにゃんぐ老、元東京都庁猫の猫之助、「飼い猫の生活が第一」党首のアナスタシア、幹事長のなな、ボディガードのステパン、新宿区長特別秘書のマルレーネ・ディートリッヒ、青い目のレニ・リーフェンシュタール、ロマノフ貴族猫之セルゲイ、新宿区教育委員会運動促進委員長イチロー、ノーベル賞受賞並の経済学の専門家で心のやさしいもうふ、区内飲食店街キャッチ防止班長キャプテンクックの衣裳に身を包街んだぴょんぴょんなど、ジークフリートのシンクタンクの面々を集めて、ジークフリートは、人間のお母さんのダンススクールの更衣室に集まって緊急猫会議を開いた。
人間は猫が集まっているのを見ると、
「あら、かわいいわね、みんな仲良しさんだわね」などといかにも頭の悪そうな感想をもらすけれど、猫が集まっている時、そこで話されている話題は、人間が国会議事堂の中で話し合っていることよりも数段レベルの高い内容の場合が多々あることを、人間は知るべきだ。
猫は人間が考えているよりはあるかに頭がいい。
翌日、猫之勝平区長は、全新宿区民にアンケートをとった。
アンケート調査:
あなたはどちらを選びますか。
防衛省について:
1)現在靖国通り沿いにある防衛省はこれからもそのままそこにあっても構わない。
2)目障りなので、これを撤去し、自然動物公園にして、牛込の大久保通りから靖国通りに直接出られるようにする。
アンケート結果を見てみると、結果は現在の防衛省の存続を求めている人が1パーセント、2)の自然動物公園を希望している区民が99パーセントいた。
猫之勝平が思った通りの結果だった。
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最終稿
猫之勝平区長は、区民との直接交流のために、辻説法演説会を毎週土曜日の午後に開催した。
ある時は新宿東口アルタ前やドンキホーテ前、歌舞伎町広場、戸山団地スーパー前、神楽坂赤城神社前、職安通りにある全国で唯一「鬼王」の名を冠した神社境内、新宿西口ハルクや小田急及び京王デパート前、新宿駅南口ルミネ前、高田馬場ビック前とその時の気分や情勢で、いろいろ変える。
この日は、松平のお屋敷があった津ノ森坂の左、升箕神社の公園のブランコ前に猫や人間が集まった。
「皆さん、こにゃにゃには、にゃーお。
新宿区長の猫之勝平による恒例の辻演説会です。新宿区にお住まいの人間や動物のみなさんと、こうして言葉を交わし、心をつながりを持つことを、毎回楽しみにしておりますにゃん。
新宿区広報やHPに書いて発表すると、冷たい感じがしますから、こうして、猫や人間の言葉で、一言一言お話することで、皆様との信頼関係を高めていきたいと思うにゃん。
私の話のあと、いつものように質疑応答を致しますので、ご質問がある方は、どうぞ、にゃんなりとお聞き下さい。
今日皆様にお話しすることは、防衛省のことだにゃん。
ここ、津ノ森坂枡箕稲荷神社の目の前に防衛省があるにゃー。
ここは元々尾張徳川家の江戸上屋敷であったにゃん。
そこに飼われていた、おりんという猫が7回生まれ変わり、またその息子の助蔵という猫が7回生まれ変わり、
更に7回生まれ変わったその娘おさよの息子猫、ゴン左衛門が7回生まれ変わり、尾張徳川の江戸上屋敷がいかにして明治時代に大日本帝国陸軍省野手に落ちたかを、口頭伝承のかたちで今に伝えてるにゃ。
今日は生き証人ともいうべき、ゴン左衛門の忘れ形見の源治郎猫がここに来て、お集まりの皆様に一部始終お伝えするにゃん。
源治郎猫は、ぼさぼさの手のトラ猫ではあるが、出自が良いので、トラ縞の毛皮の上に、徳川御三家尾張徳川家に飼われていたペットのみが着用を許された三ツ葉葵の御紋のついたサムライ・ジャケットちゃんちゃんこを羽織っていた。どこぞの馬の骨かわからない地域猫と違い、源治郎は尾張徳川家ペット猫に続く立派な家系図を持っていて、身のこなしひとつにしても気品が感じられる。
時が時なら、赤いお座布団の上で、三千人の大奥の美女を相手に、ハーレム生活を送っていたのである。
三ツ葉葵のブランド猫、源治郎猫が、おもむろに口を開いた。
「現在、防衛省があるこの土地にあった、尾張徳川家江戸上屋敷を明治政府に接収されるその正式書類を持っているのは、おっほん、このわしじゃ」
聴衆一同がどよめいた。
それが収まると、三ツ葉葵のブランド猫、源治郎猫は、もったいぶって口を開いた。
「明治政府の役人が文書に署名しようとしたその瞬間、突如広間に現れたるは、私どもの先祖様の虎猫、助五郎ニャン左右衛門。
正式文書をさっと口にくわえると、そのまま障子を破って庭へ飛び出し、三味線が加わり、テテーン、テン、テン。
あ、ツツジの茂みに走り去った。いよっ。おーっ。
テテーン、テン、テン。
いやその、早いのなんの、目にもとまらぬ神猫技。
三味線絵のばちさばきが冴えて、テンテケテンテン、テン、テン、テン、テン。
その鮮やかなこと、おみごと!
と多くの尾張徳川家の家臣の者が思ったが口にしなかった。
驚いたのは、明治政府の役人ども。
「くそ、おのれ!あのドロボウ猫をとらえろ!」
鉄砲隊まで現れて広い敷地内をくまなく捜したが、ニャンとも知れず。
ニャン左衛門は、あらかじめ、モグラや鼠を総動員して、尾張徳川家上屋敷から、三栄町元忍者居住区の謎の地下豪を中継地点として、現在の新宿御苑である高遠藩江戸屋敷まで地下にトンネルを掘っていたから、そこを抜けて悠々と逃げおおせた。テンテケテンテン、テン、テン、テン、テン。
以来その文書は助左衛門の子孫たちがお家の宝として、絶対に人間に見つけられない場所に隠し、今に至るというわけじゃ。ちなみに、大正の大震災でも、この間のB29の東京大空襲でも、全く問題なく隠し仰せたのは、つとに平和を願う神の御心のお陰。
いまこそ、かの文書を日本政府に突きつけて、この土地が実は正式に尾張徳川家から明治新政府に委譲されていないことを示さないといけない。
わしはすでにジュリアン・アサンジに、今夜、ウィキリークスでバラすように依頼した。
同じく今夜7時にわしのサイバーチームがインターネットで公開すると同時に、新宿区内に住むネットを使わない家庭へは、一軒づつ、猫郵便局配達班が、各戸の郵便受けに入れ、新聞各紙に一面広告を打つ古典的方法も忘れなかった。今、各新聞は購読部数が減っているから、一面広告を出したいと言えば、二つ返事で乗って来る。
明日の朝には全ての人が知ってしまう、本当のことを。
日本政府は、尾張徳川家から土地の権接収を正式に遂行していない。
当の権利書は、猫が持っている。
写メしたコピーが巷に溢れている。
つまり、あの土地の権利は、誰のものかといったら、日本政府のものではない。
尾張徳川家の猫のもの。
区民に住民投票で意思を確かめたから、猫の区長は、防衛省を更地にして自然動物公園を造る権利がある。
そうだ、その通り。
そこに住んでいる住民こそ、その土地をどう使うか決める権利を持つ。
その時、突如、だみ声が聞こえた。
振り返ると、顔がむくんだオムツのしんちゃんtと、髪の毛がおでこに数本かかっているスダレ君がやって来た。
「君たちのやってることは、間違ってる」
「何で」 聴衆が一斉に口を開いた。
「新宿区なんて、たかが小さな行政区分。
新宿区は東京都内にあり、東京都は日本の中にあるから、日本政府の方が新宿区より数段偉い」
「偉くニャーい」 猫達が一斉に叫ぶ。
「僕たち日本政府の人だから、ちっぽけな新宿より、まして猫なんかより数段、上なわけ」
「言ってくれちゃったね、オムツのしんちゃん、日本の国民一人あたりの収入より、新宿区民一人あたりの収入の方が多いんだよ。
日本国には、いろんな人がいて、貧乏人も多いけど、新宿区民は、みんな豊かで幸せだ。
新宿区民に聞いて欲しい、今、幸せかどうか。
住民から税金を集めず、公務員が住民は神様ですと唱えながら日々住民の幸福のために文字通り下僕となって働いている桃源郷を絵に描いたような地方自治体が新宿区以外、日本のどこにあるの。言ってほしいにゃ。
新宿区民がもっと幸せになるために、区にある土地を区民のために使おうとしてるだけにゃん」猫之勝平が堂々と意見を述べた。
「君たちの自由にはさせない」
「なんだって。ぼくたちは、オムツやスダレの言うことなんか聞きたくない」猫人間聴衆軍団も負けていない。
「日本国にある全ての地方自治体は、われわれ日本政府の支配下にあり、政府の指示に従わなければならない」
「そんなら、ぼくたちは、日本国から独立してやる」
「そうだ、独立だ」
「日本国に上納金を支払わなくてすむし、自分たちの土地を自分たちの意思で使える」
「ちょっと、待った。君は自分が大変なことを言っていることが理解できるのか」オムツのしんちゃんとスダレは、泡を吹きながら叫んだ。
「十分わかった上で、発言しているにゃん。
バチカンやリヒテンシュタインやモナコのような、新宿区より面積が小さい国が、一国として立派に存在している。
キプロスだって、四国より小さい。
面積に関係なく、みんな自分の国が大好きで誇りを持って暮らしている。
新宿区はそれらの国々より、経済規模が大きいし、人口も多い。
行政規模をなるべく小さくすることで、その土地に住む人々や動物たちの命と心を大切にできる」
猫のくせに、大の大人に対して屁理屈を言うんじゃない」スダレが叫んだ。
「僕は猫だけど、あなたたちより判断力、知識の量、精神力、決断力、運動能力が優れているし、オムツ不要だし、身体中に毛もフサフサ生えている、そして何よりも自然界への愛と畏敬の念がある。地球のお母さんに愛されている。
僕たちがやることは全て地球のお母さんを喜ばせるためにやってるからだ」
「オムツとスダレのやることは、ことごとく地球のお母さんを悲しませることばかりだにゃー」聴衆猫が大声で言った。
「おい、オムツとスダレ、地球のお母さんに謝れにゃー」猫軍団が声を合わせた。
「地球のお母さんを悲しませたね。
人間はなんのために生きるか。
それは地球指数を増やすため。
自然の摂理にもとづく行動をすれば、それは地球のお母さんを喜ばせる。
自然を破壊すれば、地球のお母さんを悲しませる。
人間が一生かかって手に入れる悟りを、猫は生まれた時から本能ですでに知っている。
リスもウサギも自然界の住民はみんな知っている。
知らないのは人間だけ。
地球のお母さんを喜ばせる歌を歌おう、歓喜の歌を。
『第九』の伴奏が始まり、ベートーベンのかつらをかぶった東京芸大の青島広志先生が、指揮棒を片手に小走りでやって来た。
「風呂いーで、しぇーねえ、蹴ってる、糞けん、戸蓋、青す、襟、事務」
ドイツ語が得意な猫之勝平、レニリーフェンシュタール、マルレーネディートリッヒ以外の猫は、漢字の歌詞で歌ったけれど、フリードリッヒ・シラーが聞いても満足するような美しい発音だった。
猫は他国の文化芸術を尊ぶため、決して「晴れたる青空、漂う雲よ」のような安易な歌い方をしない。
ベートーベンのかつらをかぶった青島広志先生の指揮のもと、四部合唱で歌う猫合唱の美しいこと。
ジークフリートは思わずつぶやいた。
「時よ止まれ、お前は美しい」
その時、どこかれともなく、銃弾が飛んで来て、猫の勝ヒラのクリームベイジュの額に命中しようとした。
と、その瞬間、ガードマン猫のステパンが飛び出し、勝平をかばい、自分が銃弾に当たって地面に倒れた。
まるでスローモーション映像を見ているような光景だった。
ステパンの首すじから、血がほとばしった。
あたりを見わたすと、黒っぽい服装の射撃犯が走り去って行った。
オムツとスダレは、いつの間にかいなくなっていた。
後を追おうとしたキジ寅次郎と舎弟猫を勝平が手で征した。
「射撃犯は、新宿警察が逮捕し、新宿法廷で裁く。
ステパン、ステパン、死んじゃいけない。
ステパン、キミっていう猫はほんとに、まったく」
勝平に頭を抱えられて、ステパンは弱々しく微笑んだ。
「ど、く、り、つ」
それだけ言うとステパンはガックリ頭を垂れた。
救急車が来て慌ただしくステパンを連れ去った。
サイレンが遠のいた。
猫たちは皆泣いていた。
「ステパンは、自分の命をかけて僕を守ってくれた。
ステパン、ありがとう。
僕は君の死を無駄にしない。
住民の意に反した施設を受け入れるくらいなら、独立して別の国になった方が、ましだ。
新宿は独立すべきだ。
そうだ、新宿共和国、新宿共和国の誕生だ。
今この瞬間、新宿共和国が生まれた。
友の血からそれは生まれた。
国の圧政に苦しむ必要なんかない。
ステパンは建国の英雄だ。
新宿共和国、バンザイ!」
「万歳」
「万歳、万歳」
「新宿共和国、新宿共和国」
猫達は皆、涙にむせび、抱き合って喜んだ。
「その運動、僕たちもご相伴にあずからせてくれ」
立川基地の横に寝ぐらを持つシゲゾウ猫が言った。
空軍基地の目の前で生きてきた福生猫の空助も、きっぱりと言った。
「福生も独立して共和国になろうと思う」
港区六本木在住のオシャレ猫も口を開いた。
「六本木の町のまん中に他国の基地があるなんてごめんだわ。
港区も独立してやるわ」
そうだ、そうだ、それがいい。
日本の政府、ざまーみろだ。
「キミ、そんな無茶言っちゃダメだ」
どこから戻って来たのか、オムツを取り替えてもらいに行っていたしんちゃんが、額に青筋を立てて抗議した。
港区六本木在住のオシャレ猫は、ファスナーが数カ所ついたミュージシャンの衣裳のようにかっこいいジャケットを羽織っている。これ見よがしに、フロントのファスナーを開けると、下はスパンコールを散りばめたタンクトップだったので、
群衆は思わずどよめいたが、人にかっこいいと言われ慣れている猫のため、落ち着いて群衆の前に出てきた。
「おや、オムツのシンちゃん、そこにいるの。
じゃ、港区にある外国の空軍基地、どうにかしてくれない、
どこかに移転してほしいわね、港区はお断りよ。
国会議事堂や議員会館のある千代田区に移してくれないかしら」
「無理だ、千代田区には、そんな場所ない」オムツは即座に拒否した。
「港区の住民が望んだのでもない施設なんて邪魔くさいわね。
千代田区にあげるわ」
ファスナー付きジャケットのオシャレ猫が
レディー・ガガやマドンナのように両腕を上げて、かっこよく腰を振ったので、
雄猫一同は失神しそうになった。
「あのう千代田区猫ざーますけれど、そんなもの手前どもでも困りますわ。
千代田区民は、日本で一番気取った地区ざますから、
お行儀の悪い施設なんて、断固拒否しますわよ。
そんなことされようものなら断然、独立ざーますわ」
「千代田区が独立したら、永田町はどうなる、国会議事堂はどうなる」
オムツのシンちゃんとスダレが千代田区猫の首根っこを掴んだ。
「野蛮な真似はお辞めあそばせ、田舎出身の殿方って、なにかというとすぐにお触りですから、
ったくもうお下品この上ないざます。
国会議事堂の頑丈な建物は千代田区民が、買い取って、千代田子供の城というのをつくり、
全国の子どもさんたちに無料で提供するざます。
子供用旅館も併設して、地方から修学旅行で東京見物に来る生徒さんたちを受け入れざますわ。
渋谷区青山の後がまがないと、子どもさんたちがお気の毒ざますから
千代田区子供の城はいい案だと思うざますわ、おほん」
千代田のざあます猫は、銀縁メガネをちょいと持ち上げた。
「おい、プロ市民猫ども、よく聞け。
気に入らないことがあっても日本国を離脱するなんてことは、許されないんだぞ。
地方自治体は国にみかじめ料を差し出す義務がある」
「国にかつあげされるのにもう、いい加減、疲れたにゃん」
取られたみかじめ料は半分が特別会計に入るから、納税した住民に還元されないにゃー」
「こんなしくみ、もう、ウンザリだにゃん」
「オムツもスダレも嫌いだい」
「かつぶし持って、出直して来い」
「塩撒いておくれ」
猫たちが口々に言った。
防衛省前の枡箕神社に集まった猫たちの意見を整理すると、こんな感じだ。
日本国とは距離を置きたい。
まあ同じ言語や通貨を使っているから、まったくの他人というわけじゃない。
経済取引や文化交流はするけれど、違う国だ。
猫達は、歌い始めた。
独立したら、新宿共和国、新宿共和国、
猫が区長になってから
新宿区域は大発展、
税金払わなくても、恩恵たっぷり、
それは公務員が働くから
ちょっとでもおサボりしたら、
途端に猫に解雇される
猫はとっても働きもの、
猫は贅沢大嫌い、
猫は自然を愛してる
自然も猫を慈しむ
猫の区長の新宿区
独立したよ、共和国
猫の新宿共和国
国際舞台にお披露目だ!
いつの間にか、新宿共和国と達筆で書かれたのぼり旗や、日の丸の真ん中が猫顔になった国旗を手にした猫や人間が大勢加わり、独立祝いのパレードになった。
津ノ守坂を上がり、三栄通りを左へ曲がり、二つ目の信号を左折、旅館の角の坂町坂を下りて、服部半蔵旧屋敷小路の階段下の忍者秘密通路を抜け、ぐるっと回ったら左手階段を下り、比丘尼(びくに)坂を上がり、
東京大空襲を免れた本塩町(現四谷本塩町)の三軒の家があった甲賀忍者通りを過ぎて、
元サンドイッチ工場現雪印メグミルクから外堀通りに出て、右に曲がり、外濠公園沿いを歩き、
四谷見付交差点を右に折れれば、天下の新宿通り。
新宿区長猫というか、新宿共和国大統領の猫之勝平、
当選数日本最多猫ニャング長老、元東京都知事の猫之助、
最大野党政党飼い猫の生活が第一の党首ロシア猫のアナスタシア、
幹事長猫ナナの後ろには、海賊キャプテンクックの衣裳のヘムヘム、
ロマノフ貴族猫セルゲイ、元ジンバブエ大統領飼い猫ムガベ、
青い眼のシャムトラ美人猫レニ・リーフェンシュタル、
パンダ猫マルレーネ・ディートリッヒ、心の優しい経済ツウもうふ、
農林水産専門家ふー子、体育球技顧問のイチロー、
その他多くの人間や犬、外濠のカモの親子も加わり、新宿通りを闊歩する。
左手の広大な唐辛子畑は今まさに真っ赤な唐辛子が実り、
高遠藩内藤のお殿様も天国でにっこり、
右手には新宿牧場の牛たちが生乳ヨーグルトづくりもそこそこで列に加わり
追分新宿の馬やロバたちも最後尾からついて来る。
新宿中村屋の前まで来た時、猫之勝平は自分の目を疑った。
ニコニコ笑いながら両手を大きく差し伸べているのは、なんと、死んだはずだよ、ステパン。
猫之勝平はステパンに走り寄って、抱きしめた。
手ごたえのある筋肉質の躯体のステパンだった。
ボディガードとして数々の政治の国際舞台を生き延びてきた屈強なオス猫、ステパン。
ホイットニー・ヒューストンと共演し、タイトル・ロールを演じたボディガード猫ステパンが猫之勝平に耳打ちした。
「猫は七回生きる。
だから僕は死んでない。
死んでもいい覚悟で毎回本気で生きるから
猫の生き様は、かっこいい」
「ありがとう、ステパン」
「万歳、ステパン」
「万歳、新宿共和国」
「万歳、猫之勝平」
建国の英雄ステパンと、新宿共和国初代大統領猫の勝平は、
手に手をとり合って、パレードの先頭を歩いた。
「この間まで、わしの尻尾で戯れていたあの仔猫が、
よくここまで成長した」
ニャング長老猫は、猫之助とアナスタシアに目くばせをした。
みんな目が潤んでいた。
どれほどクリームベージュのジークフリート君こと猫之勝平を愛しているか、どの目も語っていた。
歌舞伎町一帯に造られた竹林から爽やかな風が吹いてきた。
空にはメジロやオナガドリ、ツバメが飛び交っている。
新宿の今日の空はどこまでも青い。
猫之勝平を先頭にした猫と人間とあらゆる動物のパレードは、道行く人びとを加えてドンドン大きくなっていく。
アルタ前からガードをくぐり、パレードは小滝橋通りを高田馬場方面へ向かって行った。
おわり
送付済み